03-7
クシ先輩の手料理
読み難いので改行してみた
ヤエ先輩からのメール
『ヤツのおかゆはヤバイ。覚悟しておけ』
「(え!?)」
「山ちゃんお待たせ、おかゆ出来たよ!」
「え!?あ、はい」
(携帯、サッと枕の下に)
「具合はどう?自分で身体起こせる?」
「はい、これぐらいは問題なく」
「あ、ベットに座ったままでいいよ」
「ですがこの体勢では食べにくいのですが?」
「フーフー。ある程度冷ましてるから、はい口を開けて」
「え?」
「だから、ほら」
「え、えーと。自分で食べれますので」
「いいから、いいから」
「それほど体調も悪くは、、、」
「( じーーー)」
「、、、あーん」
「(ぐいっ)」
「ん!?(こ、これは!!)」
「かために炊いてるからちゃんと噛んでね」
「もぐもぐ」
(あ、あまり美味しくない。決してまずいわけではないのですが。普通病人向けのお粥だと味は薄めと思うのですが、これは逆に濃い!
見た目は普通のお粥。そのなかでも分類的にはシンプルな卵かゆと思っていました。
ですが、食感はご飯にお米の弾力が感じられ、一般的なお粥は飲んでいるような感じですが、これはまだ食べていると実感できます。
しかし驚くべきはこのとろみ!ちゃんとお米の食感があるのに舌の上ではとろみがあります。
しかしとろみ独特の重みがあるわけではありません。おかゆ全体にとろみをつけてしまうとどうしても飲み込みづらくなってしまうが、これはとろみを感じた瞬間にさらっと溶けてしまった。
この感じはどこかで、、、!
これはあんかけラーメンを食べたときの食感に似ている。まさかお粥の上に溶き卵あんかけがかかっている?
見た目で気が付かなかったのは餡にほとんど色がついていなかったからでしょう。
餡自体にはしっかりと味がついていて、それが口の中でおかゆと混ざりあい、初めに感じた味の濃さがスッと和らいでいく。
それでもお粥にしては味は濃いめですが特に餡の味で際立っているのが、独特の辛味と口に広がる香り。
その正体は生姜でしょう。
確かに生姜には発汗作用があり、風邪の引き始めにはピッタリかもしれません。
味わった感じには十分な量の生姜が使われていると思いますが、餡にはダシの風味も感じられ、さらに卵で味がまろやかになって生姜独特の辛味はそこまで感じません。
そして生姜とは別の独特な風味もありました。これは梅干しでしょうか。こちらは食感と一緒に感じたので、どうやら梅肉が直接入っているようです。
初めに気が付かなかったので、こちらは粥自体に入っていたのでしょう。
しかし確かにお粥のトッピングとしてはメジャーですが、餡にしっかりと味が付いているのでわざわざ入れる必要があるのでしょうか?
さて、これでこのお粥の正体が分かりまし、あっそういえばお粥のうえにネギが添えられていた、イタっ!
唯一の繊維質のネギと思われるモノを噛んだ瞬間に舌に強い刺激が!さすがにこの辛さはネギではありません。ですがお粥の上には緑のネギしかなかったはずです。
そうすると梅干しのようにお粥のなかに混ざっていたのでしょうか?でもそれだとお粥全体に辛さが広がっているはずです。しかし噛んだ瞬間に辛さがきました。そうなるとこの辛さはどこから、、、
あ!ネギと思っていた緑色はお粥の上さらに餡の上にのっていました。食べる直前に上に乗せれば辛さは広がりません。
この辛さ、そして緑色
そうなるとこれは、青唐辛子!!
クシ先輩、なに考えているんですか!お粥に唐辛子を入れるなんて!!
クシ先輩は辛いのがお好きかもしれませんが、病気の身体には刺激が強すぎます。
しかし、
「どう?山ちゃん、美味しい?(にこにこ)」
・・・困りました。
作る前はクシ先輩は料理に自信があったようなことを言っていましたが
決して不味くはありません
しかし普通のお粥と比べると、、、
ああ、クシ先輩が期待した目で私の顔を見ています。
私はどうすれば、、、
「ほら、山ちゃん。あーん」をしたかったから山ちゃんを風邪にしてクシを向かわせたわけじゃないですよ?(多分
『玉子餡かけ生姜おかゆ』
食べたことも見たこともない料理