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03-6

ヤエ先輩

アドレスは前のオフ会で交換している。

ちゃんとメールでも名乗っている。


クシ先輩

アドレス知りません。

メールが誰からか分かりません。


山ちゃん

インフルエンザ

思考力低下(病気デバフ)

<櫛八玉>を「マイルーム入室許可」に設定しました


<櫛八玉>を「マイルーム内設備使用許可」に設定しました


<櫛八玉>を「アイテムボックス使用許可」に設定しました


<櫛八玉>を「マイルーム内装飾品移動許可」に設定しました


<クシ先輩>を「アドレス帳」に新規登録しました


登録アドレス:kusi-yatama@dddmail.jp



◇ ◇ ◇ ◇



「クシ先輩、突然来られた理由は気になりますが、とりあえず上がってください。あ、このスリッパをどうぞ」


ニャーン


「あ、ありがとう。(なんだ、このかわいいネコちゃんスリッパは!もふもふだ!私は普通のスリッパしか持ってない)」


「部屋が若干散らかっていてお見苦しいのですが、とりあえずこちらにどうぞ」


キョロキョロ


「あ、ありがとう(一体どこが散らかっているんだ?私の部屋なんて突然上がられたら脱ぎっぱなしの洋服とか雑誌とかがそこら辺に散らかっているんだけど。しかし、ぬいぐるみが置いてあるのは意外だな。それに棚の上とかにも可愛らしい小物が。あの小さめの瓶から細い棒が何本か出ているけどアレなんだろ?それに部屋が少しだけ甘い香りが、、、)」


「せ、先輩!あまり部屋の中をキョロキョロ見ないでください。恥ずかしいじゃないですか」


「あっごめん。思ってたより、、、っとそうじゃなかった。私としてはまず今の山ちゃんの格好の理由をきちんと聞きたいんだけど」


「すみません、お見苦しい姿を!突然だったので着替えるのを忘れてました。少し待っててください、すぐに着替えてきます」


「いや、そのままでいいよ、と言うよりそのままじっとして聞いてなさい」


「は、はい。ですがこんな姿を人に見られるのはかなり恥ずかしいのですが」


「何をいまさら。私は山ちゃんがよちよち歩きの頃から見てるんだから気にしない」


「それは<エルダー・テイル>での事じゃないですか!リアルで会う2回目で寝間着姿とか明らかにおかしいと思いますが」


「まあまあ落ち着いて。それより体温計どこ?」


「体温計ですか?それなら先輩の後ろの棚の引出しの中にありますが。ちょっと待ってく、って勝手に引出し開けないでください!」


「それじゃあ、ほい。山ちゃん今から計ってみて」


「今ですか?」


「そう。ちなみに昨日の夜に微熱があるから今日の午前中に病院に行くって言ってたけど、なんて言われた?」


「インフルエンザだと」


「私の記憶だとギルド会議前にどうだったって聞いたときは、『薬をもらってきたから問題ありません』って言ったよね?」


「はい、確かに。病院では薬飲んで家で安静にするように言われたので病院から帰ってきてからはずっと部屋にいますので、特に問題はありませんが?」


「このおバカ。安静にするように言われてなにギルド会議に1時間以上参加してんの」


「さすがに今日の会議は欠席するわけにはいきませんでしたから」


「その結果、その格好でパソコンに向かってたと?」


「はい」


「あのね、山ちゃん。確かに高山三佐はメインスタッフの一員で今回の議題に関わってたけど、それはあくまでもゲームの中。こっちの山ちゃんを犠牲にする必要はないんだよ。クラスティ君もメインスタッフには『リアルを犠牲にしない程度に』って言ってるでしょ」

「というか、彼の場合なぜかリアルにほぼ影響のない範囲でしか仕事を振ってこないのが逆に怖いんだけどね。ただそれでも彼はきちんと各自の意思を尊重する。無理な事は止めるけど、無茶する事は止めない。だから今回も」



ピピピピ



「あ、計り終わったみたいです」


「で、何℃あった?」


「えっと、、、38.4℃です」


「明日1日で熱が下がると思う?」


「、、、いえ。さすがにインフルエンザなので平熱になるのは2、3日かかると思います」


「今の体調でレイドに参加してちゃんと操作できる自信はある?」


「、、、今回は『フィールドモニター』ですの」


「自分のキャラは動かさないでいいから楽だと?」


「、、、いえ」


「よし、今すぐベットに入って寝なさい。寝ないなら私が締め技で落として布団に放り投げる」


「えっ!?」


「ほらほら、さっさと布団に入る。っとさすがにそれだけ着込んでると逆に寝るのにはジャマか」


「わ、わかりましたから羽織ってる服を無理やり脱がそうとしないでください!ちゃんとクシ先輩のいう通りすぐに布団に入りますから」


「あと薬はちゃんと飲んでる?」


「さっき飲もうとしたときにクシ先輩がやってきたので、まだです」


「ちなみに夕食はなんか食べた?」


「いえ、食欲がわかないので栄養ドリンクを飲んだだけですが」


「なら、私がおかゆを作ってあげるからそれ食べてから薬飲みなさい。空腹で薬を飲むのは良くないから」


「え!?クシ先輩にそこまでご迷惑をお掛けするわけには」


「じゃ、悪いけど台所借りるね。出来るまで山ちゃんは大人しくそのまま寝てるんだよ」


「あ、あのクシ先輩。ですから、、、」


「だいじょうぶ、だいじょうぶ。こっちでもちゃんと料理できるから安心して」


「あの、、、」


「さぁーて、久々に風邪用特製おかゆを作るかな」


「、、、冷蔵庫にあるものでしたらご自由にお使いください」


「そっちもだいじょうぶ、ちゃんと材料は買ってきてきたから」


「、、、クシ先輩。なぜそこまでの準備が?」


「ん?念のために。それに使わなかったら持って帰るか違うの作る予定だったから」


「、、、私の家に上がることはクシ先輩の中では確定だったんですね」


「ん、山ちゃんいまなんか言った?ちょっと聞こえなかったけど」


「いえ、なんでもありません」


「じゃ、おかゆを出来るまで大人しく寝てるんだよ」




◇ ◇ ◇ ◇




「(なぜかおかゆを作ってるとは思えない音がキッチンから聞こえるのですが)」



キッチンからクシ先輩の声が


「もうすぐ出来上がるから」





ブルルル



「(おや?ヤエ先輩からメールですね)」



『ヤツのおかゆはヤバイ。覚悟しておけ』




「(え!?)」


Q:なぜインフルエンザなのか?


A:高山三佐は普通の風邪では倒れません

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