突貫黒巫女の爆誕
突貫巫女の誕生の瞬間
大規模戦闘<レギオンレイド>において、メインタンク隊が全滅し、残ったサブタンク部隊も壊滅状態におちいったレイドチームは仕切り直しをするためにスキルを温存し、敵の攻撃パターンを観察することに徹しようとしているなか、後方支援パーティーの護衛をしていた遊撃部隊がフィールドを一直線に突っ走り、レイドボスまでたどり着いた上、最後はボスを単騎で殴り合いし勝利した〈神祇官〉がいた。という実際にあった物語
◇ ◇ ◇
「ボスHP、残り1割を切りました!」
「よし、このままたたみかけるぞ。アタッカー部隊は火力でボスへ集中する。遊撃部隊は後方支援パーティー以外はアタッカー部隊に合流してくれ」
「よっしゃ、ボスHP残り2コマ。スキルを使い切ったが、こののままいけるっしょ」
「勝ったな」
「ああ...」
「誰だ今、変なフラグ立てた奴」
『チ、チ、チ、ピン!!範囲がくるよ〜』
「え?」
「ヤバイ、範囲攻撃のタイマーが鳴った」
「おぉ!画面眩しい〜」
「目、目がぁぁ〜」
ボスが強烈な範囲攻撃を発動。レイド大隊は壊滅状態へ
「クソ、第1タンク部隊が蒸発した」
「近接アタッカーも全滅したよ〜」
「第⒉タンクも半壊。支援受けても、もってあと2、3分ってとこかな」
「フィールド中央にモンスターがたくさん出てきた!?」
「あ〜、それギミック処理が間に合わなかった時のやつだね。3時の方、間に合わなかったみたいね」
「途中でアタッカー抜けたら間に合うわけねーだろ」
「ってゆーか、なんで範囲タイマーと同時にきた?さっきは5秒は余裕あったよね?」
「残りHPの変動で徐々に攻撃速度が変わってきていましたから、その影響でしょう。それより、こちらの残存兵力はおよそ4割、すでに継続戦闘の維持限界を超えています。ここは第二タンク部隊に回復を集中し、このフェーズのボスの挙動を観察することに専念しましょう。中央の敵はサブタンク2チームが受け持ち、少しでも時間を稼いで下さい。残った遊撃部隊も中央をお願いします。(やはり、敵、味方それぞれの状況を完全に把握して指揮系統を統一させる必要がありますね。次のミーティングの時にミロードに進言してみますか)」
「あー、山ちゃん聞こえる」
「はい、通信はクリアーです。どうしました、クシ先輩?」
「えーと、遊撃部隊は中央に向かっていいんだよね?」
「はい、申し訳ありませんが先輩の部隊も時間稼ぎをお願いします。残念ながら、こちらはタンク部隊の活動維持に専念するため、先輩の部隊の支援は出来ませんので、先輩には死地に向かっていただくことになります」
「じゃあ、中央に集まる部隊の指揮をもらってもいいかな」
「それは構いません。むしろ、先輩が指揮していただいたら活動時間が倍になるでしょう」
「いや、山ちゃんそれは流石に無理。なんか、私への期待が重いんだけど」
「ボスの固定部隊以外の全部隊はクシ先輩の指示に従って下さい。では、あとはお任せします、クシ先輩」
「かわいい後輩の頼みならしょうがない。みんなこのまま中央までいって、そのままボスまで突っ切るよ。あ、サブタンク部隊の戦士職の諸君はザコ釣って中央に道を作って、回復職は先行回復飛ばしたら、心を鬼にして見捨てよう。ボスまで着いたらそのままアタックね。それじゃ、よーいドン」
「え!?先輩には遅延行動をお願いしたのですが」
「そうだったの?ごめん、もうみんなスタートしちゃった」
「先輩の作戦でしたら残りの30秒はボスのHPを削れるのは確かです。あとは奇跡を祈るだけですが」
「あれ、なんで残り30秒なの?確かあと1、2分は耐えれるって」
「ボスのHPと攻撃速度からすると、あと25秒であの範囲攻撃がきます」
20秒後
「どうせ、明日はインできないから使っておくか『四方拝』」
画面ピカー
ドッカーン
「とりあえず、生きてるけど、一撃で障壁割れるし、最後に一太刀浴びせるか」
ボスの一撃
障壁パリーン
最後の一太刀<クリティカル>
ボスの雄叫び「グオオォォー」
キラキラ〜
レイドクリアー
「え!?」
その他大勢
「遅延行動だからスキル温存でいいよね」
某パーティーメンバー
「いや〜、全力で守ったかいがあったなぁ」