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第一章 【炭鉱の町】 01
カーン、カーン、カーン。
今日も町中に鳴り響くのは、甲高く心地よい工場の音。
戦争のある時代は、この音が壊れた警報のように朝から晩まで鳴り響いていたらしい。でもそれは昔の話。
戦争のないこの時代に作られるのは、子供達の大好きなおもちゃ、大人も見惚れる精密な模型、女性に人気の宝石加工。魔物退治のために少しは武器も作るけど、今のご時世需要がない。
カーン、カーン、カーン。
私は人を笑顔にできるこの仕事の家に産まれて誇りに思っているし、この音が鳴り響くこの街に産まれて幸せ者だ。
「お姉ちゃん」
「はいはい」
壊れた模型を泣きながら持ってくる子供に、手を差し伸べる。
折れた部品を補強して、溶接、塗装。自分の店の商品くらい修復はお手の物だ。
「ありがとう、お姉ちゃん!」
笑顔で帰る子供を見送ると、自分も幸せだ。
一生この暮らしで満足して行けると、心からそう思っていた。




