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殺し屋少女と憑かれた高校生  作者: 山猫系
第一章 4月8日〜4月12日 雨男ストレンジラブ
9/22

雨男ストレンジラブ 8

「最初獅南がクラスで新しい友達ができた "桜君"って言うからてっきり女の子思ったよ。 獅南は女の子に君を付ける癖は無いのにね。ハハ」

「あのさあ、あんまり名前のことは言わないでほしいんだけど」


俺はこの男を好きになれそうにない。彼が獅南さんと仲がいいからとかではない。家矢蔵馬は俺がここに来るのがわかってたかのようにいた。そして"随分と雨に当たった"何故だ。確かに今の俺は全体的に湿っぽいが、逆に言うならこんなポカポカ日和なのに何故"雨"という単語が出てくる?


「麒麟凛獅南、獅南の名前は見るだけでも綺麗だと思う。だけど名前の力とはすごくてね、獅南の名前はどうも近ずきがたい。」

「俺は別にそうは思わないけど」

「まだオレが喋ってる最中だから口挟むなよ」


今だにロッカーに持たれ掛かりながら、まるで嫌なものでも見るかのよいに冷たい目をしてきた。

かなりなめられているようだな、

俺。まるで俺の弱味でも握っているかのような態度だ。


「獅南に近ずけるのはオレだけだよ。獅南に近ずいていいのもオレだけだ。わかる?」

「いいやわからない。家矢、お前は何者だ?」

「ハハハ! まるでオレが謎の人物で薄気味悪い奴みたいな質問するね。

オレは単なる


獅南の幼馴染だ。」


家矢蔵馬はその後 じゃあ と言ってどこかへ去っていった。彼は陰湿で悪質というよりは基本的に明るく堂々としていると思う。だかそれとは裏に殺気と自信を彼から感じた。家矢蔵馬は俺のことが嫌いなのであろう。自分の物に手を出そうとしている者がいれば煙たがられる。嫌なものは近ずけたくない。そうなんだろうな。


家矢と険悪な初対面を果たした俺はそのまま教室へ向かった。



まだ休み時間だったものの教室に入った時のクラスメイトたちの目線はとてつもなかった。

手ぶらで学校に来るなんて相当バカ野郎だ。だけど手ぶらで学校に来ても授業に支障がない俺は本当にバカ野郎なのかもしれない。


席に向かったら獅南さんが俺の席の横で本を読みながら、片手にンドイッチを持っていた。

彼女は両手で本を読んだことがあるのかなと疑問を抱いてしまう。


「お、遅刻じゃんかー。何かあったの?」

「川で溺れた」


獅南さんの目が一気に見開いた。

しくじった、獅南さんに嘘つけないなという変な罪悪感のせいで言ってしまった。

一応事実ではある。


「え、えぇ!?、確かに髪とか服が水に濡れた後があるけど•••えぇぇ!?」

「落ち着いて落ち着いて、

橋渡ってたら足滑らせて•••」

「桜君平均台で川でも渡ってたの!?」

「違う違う普通の橋だよ」

「ウチ結構ドジって言われるんだけど、桜君ウチ超えたね。おめでとう!」


川で溺れたことをドジで済ませれる獅南さんってやっぱりすごいなあ。常人ならまず信じないよ通学中に橋から足を滑らせて川に溺れるなんて。


「ん!、モグモグ•••そういえばウチのメール、ブッチしたなぁ」

「あ、ごめん、携帯流されちゃってさ」

「さすがドジっ子だね ウチなら水ん中でもバシっ!て掴むよ」


携帯依存症の最高点をオーバーラインしてるだろそれ。


「じゃあさ、桜君これから携帯どうするの?」

「さすがに川でダイビングして携帯捜索するのは大変だから、

新しいの買うかな」


すると獅南さんが手をパチンと叩かせ俺を指さした。


「ウチもそろそろ携帯変えようかなって! 時代はスマホだよスマホ!」


「確か獅南さんソフバンだよね、

もしよかったら一緒に携帯屋さんいかない?」


自然に出てしまった言葉に俺は焦った。小規模のミニマムスケールではあるけれど獅南さんに対する初めてのデートのお誘いだ。


「桜君携帯屋さんって面白い!普通ソフトバンクショップとか言わない?フフ。 一緒に行こっか!」


彼女と俺はまだまだ出会ってばかりだし、お互い知らないことは沢山ある。まだまだ俺と獅南さんの距離は席の距離ほど近くはないがそれでも少し、縮まった気がした。


おらァァァ!!

タンスの前に立っている俺は意味もなく叫びながら服を着替えていた。テンションを限界を超えた。今なら空も飛べるはず。時刻は午後5時、獅那さんとの公園での、待ち合わせ時刻は午後6時。家から公園の距離は徒歩15分程度である。しばし早すぎたかもしれないが、俺の体は支度を欲しているッ!


「桜ぁ、うるさい」


俺の部屋の扉を開けて現れたのは俺の学校の長袖の体操服を着たイリスであった。寝癖がだらしなく跳ねてさらにそのだらしない頭にだらしなく手を乗せねだらしなく爪をたてて頭をかいていた。


「お前がなんで俺の体操服を着ているのか知らないが俺は今お前の気分じゃないんだ」

「わたしは桜の愛人になった覚えはないぞ」


かまってほしいのか?こいつは俺にかまってほしいのか?

そんなこと俺が許しても俺の理性が許さない!


「立ち去れー」

「え?」

「立ち去れー」

「なんかあったの?」

「立ち去れー」

「い、意味わからない!本当気持ち悪い!」

「立ちさっグッうっ! ってーー!」


顔面を殴られた。思いのほか本気で殴られた。そしてドアを壊すかの勢いで思い切り閉めてイリスは立ち去っていった。

ドン!という音が部屋周に鳴り響く。金具の落ちるような音がしたので一回部屋の外に出てみるとドアノブが廊下に落ちていた。


「ごめん俺が悪かった」


008


ドアノブとかイリスの機嫌などとか今の俺には些細なことだ。

髪型のセットに10分はかけたし、玄関に向かへば一端また洗面所に向かい髪型が崩れてないかチェックする、そんなことが3度続いた。こんな調子じゃいつまでたっても進まないと思った俺はそろそろ心に区切りを付けて待ち合わせの公園に向かうことにした。


外は茜色の空に覆われていて夕日が西の彼方に沈みかけていた。

俺はイヤホンでoasisの

the importance of being idleを聴きながら足踏みをリズムに合わせてさながらpvの撮影の気分で歩いていた。洋楽を聴きながら歩くことってのは俺にとっては暇潰しだけではなく心の調整にもなる。

単調ではないメロディーは考えごとをする時間を与えず精神をあらゆる感情を落ち着かしてくれる。


歩いているうちに公園が見えたので俺はキリのいいところで音楽を止めてイヤホンを音楽プレイヤーに巻いてポケットにしまった。

まだ公園には獅那さんの姿が見えなかったと思いきや後ろから声が聞こえた。


「桜君ーー!」


後ろ獅那さんが手を降りながら歩いてきた。ほぼ同時刻に到着したらしい。運命じゃん。

偶然か


「ごめん待った?」

「いや、今着いたとこ」

「良かったー、ウチ人待たせるのって抵抗あってさ」


言葉から滲みでる善人臭は俺のアロマテラピーだ。


「あ、どこの携帯屋さん行く?」

「出た!携帯屋さん! ウチも携帯屋さんって言うね!」


そんなこと言われたら俺は一生携帯屋さんという単語を使えばならないじゃないか。すっごく嬉しい


行き場所はお互いに帰る時に家から公平な距離にある携帯屋に決まった。

これを気に獅那さんと同じく俺もスマートフォンにしようかと思っていた。


「獅那さん、俺もスマートフォンにするよ 、タッチできるし」

「しよしよ!じゃあ、おんなじスマホにしようよ 一緒にタッチしよ」


一緒にタッチしよとか言葉だけ切り抜くと卑猥すぎでしょ。軽々しくそんなこと言ってしまう獅那さん強者だな。


「つまりお揃いってこと?」

「そういうことだね、ウチ勝手に桜君のこと親友なんて思い込んじゃったりしてるんだよ?」

「親友?」

「うん 桜君がいなかったらウチ、クラスで孤立してたかもしれないし桜君はなんか、男女っていう壁を気にせずウチに一緒にお弁当とか誘ってくれたし。」


「俺たちずっと親友でいられるかな?」


自分で言ったこの言葉、それは俺にとって皮肉でしかなかった。

獅那さんにとって俺は信用できる人でもあるし、心を許せる相手らしい。俺だってそうだ。

だけどどこか違う。噛み合ってないしニュアンスがズレてる。


俺の言葉に彼女は笑顔で、うん と頷いた。頷いずいてくれた。


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