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殺し屋少女と憑かれた高校生  作者: 山猫系
第一章 4月8日〜4月12日 雨男ストレンジラブ
6/22

雨男ストレンジラブ 5

いや、彼女が話を続けようとする前に、俺は彼女の話を止めてイリスに質問した。


「お前14になるまでって言ったけど、学校は

どうしてたんだ?」

「普通に行ってた」


ここで疑問が生じる。

この常識知らずの女がどうやって学校に通うことができたのか?

まずこの女がなんの障害もなくただふつうに学校に通うことができるのか?


「で、学校生活はどうだったんよ?」

「それがな•••」


突如顔をうつぶせたイリス、

俺はやはり何かがあったことを悟った。いくら俺が彼女のことを恨んできたからと言ってやっぱり何かがあったのだと思うと•••

例えばこいつの上から目線の態度に愛想つかして友達がいなかったりとか、不気味がられたりとか、調理実習で人間味からかけ離れたことをしたりとかしていじめれたりとか。

さすがに可哀想だ•••


「それがな•••」

「ああ」

「とてもモテた」


はい、解散


「心配してそんしたわ!!」

「なんの心配をしてたんだ?」

「お前がいじめられたりしたのかなって」


すると彼女は今にも何わけわからないこと言ってるんだこいつと言いそうな顔で俺を見た。


「何わけわからないこと言ってるんだ桜」

「心を読んだだと!?」

「あいにく私をそんな力を持ち合わしてはいない」


まあいいや、とりあえずこの隠れナルシスト女から話を聞き出さないと。


「まあ、確かにお前がモテるのはわかるけどさあ」

「何、わ、わけわかんないこと言ってるんだ!、バカっ!」

「何照れてるんだよ!話が全然進まねーじゃねーか」

「照れてないし意味わかんないし話止めてんの桜だし」


確かにそうでしたな。そろそろ本題に入らないとの逆上せて倒れて帰ってきた霊音たちに助けられて危うく質問攻めされりとこだった。


「で、学校生活はどんなだったんだ?」

「んーなんというか友達と呼べるのはできなかった。 家来ばかりだったんだ。」

「いやいや意味わかんないっす」


イリスは一旦黙り込んだ。多分学校での記憶を呼びおこしていたのだろう。そしてまた顔を上げた。


「女子はわたしに同学年だろうと さん 付けして、わたしの言うことはなんでもこなし、男子も同様だった。しかもわたしに告白しようとする者が現れたら他の男子に力づくで止められていた。」

「お前の美貌は同性をも虜にして、もはや崇拝される領域だったんだな」

「•••••」


だからいちいち何照れてるんだよ!髪の毛を指先で、またくるくると巻き始め、今度は前髪で顔を覆うように隠した。


多分間近に人に褒められたことがないのか少し褒めるだけですぐ照れる。こいつはそんなんで殺し屋をやってこれたのだろうか。

というよりも未だ何故彼女が一緒に風呂に入ることを誘ってきたのか。人生において一緒に風呂に入った女子といえば姉ちゃんくらいだ。正直姉ちゃんとはレベルが違いすぎる。

俺とイリスは本来殺し合う関係。道端で出会ったら考える余地なく飛び掛る縁だ。

とんでもない縁だが。


お互いがお互いを亡き者にしたいと考えている両者が無防備で語り合っている。

イリスはわからないが俺は彼女に本心で語り合っている。

恨み憎しみそして許していないのに、なのにこうしていられるのは俺は彼女を無くてはならないものだと考えているからだ。

存在が当たり前、傍にいるのが当たり前、イリスは俺の常識になってしまった。

だからこうして湯気の立ち込む風呂の中で裸同士でいられるのだ

イリスはどう思っているのだろう。何故俺と話しあうことができるのであろう。

性格からして開き直ったとかではあるまい。


「なあイリス」

「ん?」

「俺のことどう思う?」

「嫌い」

「知ってた」


んー

シュールすぎでしょ今の会話。

見栄はって 知ってた とか言ったけど内心ショック受けてたからね。不意打ち。公園で 好きな女の子に電話したらその子にビルの窓から狙撃された人みたいな気分だ。


「じゃあなんで俺に風呂入るの誘った?」

「それはな、かくゆう社交辞令というやつだな」

「俺たちは元々社交する関係ではないだろ」

「まあ今のは冗談で桜の右手をじっくり見たかった。"亥の侵食"具合をな。」


イリスは俺の右手を細めた目でみた。まるで何かを疑うかのように。


俺の右腕は俺の右腕ではない。


大晦日、俺が実の兄 弧都瀬亥によって移植された彼の腕である。

父弧都瀬綱鷹 兄弧都瀬亥は

この町と離れた場所で、まあ簡単に言えば霊媒師を専門とする会社を立ち上げていた。兄は仕事の際詳しい成り行きは知らないが、両腕、右肩、左眼、髪、右耳、心臓の七つの部位に妖怪を封印していた。もはや人間とも妖怪ともいえない、兄は"怪物"だった。

それは表の話だけではなく内面も。俺は兄以上に優しい人間に会ったことない

兄以上に強い人間を見たことがない。兄以上に兄として生きてきた人間を見たことがない。

そんな彼が遺した唯一の形見がこの右腕だ。

遺したというよりは託された。

この右腕を託された訳ではなく未来を託された。

そしてこの右腕は俺としてではなく別として生きている。

俺に侵食している。

本当に徐々に傷口が腕から肩の方へと上がってきているのだ。

イリスはこれを"亥の侵食"と呼んだ。この先どうなるかはわからない。仮説では俺は弧都瀬亥になるかもしれない•••らしい。

だがそれがどのような結果になるかはわからない。真実に到達できない闇だ。


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