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「ああ!!危ないっ!!」
キキィーーーーー!!!!
・・・ドンッ
「・・・ここは、どこ?」
気がついたら、僕は真っ白場所にいた。
「ここは、天国だよ。」
上の方から声がして、上を向いた。
そこには、白い服を着た男の人がいた。
どうやら僕は、この人に抱っこされているらしい。
「人間・・・?僕の言葉がわかるの?」
そう、僕は人間じゃない。
「あぁ、この世界じゃどの生き物も同じようにしゃべれるんだ。」
その男の人は、浅黒い肌に黒い髪をしたやさしそうな人だった。
「あなたは誰?」
「俺は、葉月玲。レイって呼んでくれ。」
「・・・レイ。」
少しつめたそうな名前だったけど、そんなの吹き飛ぶくらい温かい人だった。
「おまえの名前は?」
そう聞かれて、戸惑う。
「僕、名前無いんだ。いつも、猫って呼ばれてた。」
そう、僕は猫なんだ。
「家族とかなんて呼ばれてたんだ?」
僕はそれにもこたえれない。
「僕昔から一人だったから・・・。」
「・・・そうか。でも、この世界じゃ人とも、どんな生き物とも話が出来るから。名前、つけなきゃな」
そう言ってレイは、顎に手をあてて考え始めた。
「・・・そうだ、アルがいい。俺猫とか飼ったらこの名前つけたかったんだよ」
そう言ってレイは上機嫌だった。
「アル・・・」
そう言った僕を、レイが不安そうな顔で覗き込む。
「いや、だったか?」
僕は大きく首を横に振った。
「ううん、名前つけてもらえて嬉しいんだ。」
「そうか、それは良かった。」
レイは安心したようにため息をついた。
「外、歩いてみるか?結構綺麗だぞ。」
そう言われて、ここが室内だと気づく。
「うん。外に出てみたい。」
僕がそう言うと、レイは僕を床に下ろした。
「じゃあ行くか。」
そう言って、ドアを開ける。
レイに続いて、僕も外に出た。