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act.3 意外な特技


慎吾は、数十分前みかと春樹が乗ったエレベーターに乗っていた。

今日は部活がなかったのだが、ミーティングがありバイトには遅刻してしまった。

〈京子さん怒っかな…。〉

そんなことを考えながら、事務所のドアを開けて最初に目に飛込んできたのは、予想通りの明るい茶髪だった。

「よう。春樹!まじめにやってっか?」

「あれ?やっときたのかよ。遅いぜ〜。」

「その反応を見るとみかに聞いたのか?」

「あぁ。まさか慎吾がイレイサーだったなんてね。なんで教えてくれなかったんだよ。」

春樹はちょっとムスッとして慎吾を見た。

もう慎吾とは二年近い付き合いなのだ。いままで知らなかったのが少し悔しかった。

「あんまり言えないだろ?こんなこと。」

「まあ、確かにそうだけど…。」

イレイサーになれる能力者は50万人に一人の割合しかいない。身近に能力者がいるとなったら、学校などでは大騒ぎになるだろう。

「でもさ〜俺にぐらい言ってくれてもよくね。」

「まあまあ。怒んなよ。それより、うまくいきそうか?」


慎吾はそう言って、パソコンの前に座っている春樹に近付いた。

「ぼちぼちってとこ。ああ、今お茶煎れるから。」

春樹は事務の他に雑用&接待も任されていた。お客にだせるお茶をいれるため今から修行だ。

「俺、コーヒーで。砂糖なし、ミルク一個。」

「わかった。」


春樹がコーヒーを煎れている間に、慎吾はパソコンを覗きこんだ。

そして絶句した。


「…なんだ?これ。」

画面には、全体を埋め尽すほどの数字やローマ字、記号などがごっちゃになって、洪水のように下から上へ流れていっていた。

「すごいよね。」

「杉本さん…。」

いつの間にか、イレイサーで、事務がいない間管理を任されていた杉本が隣にいた。

「僕も最初はびっくりしたよ。やり方説明してたら、こっちのほうが効率がいいって、いきなりプログラム組始めちゃったんだよ。20分ぐらいで組んだプログラム起動させたら、あっと言う間に溜ってた一ヶ月分の未処理データが半分になって…。」


おそらく空いた口が塞がらないとはこういう時に使うのだろう。

慎吾は呆然と画面を見つめ続けていた。


「何ボーッとしてんの?はいコーヒー。」

「…あ、ああ。ありがと。それより…お前……。」

「ん?なんかへんなとこあった?…………ああ!ここ違う。」

そう言って、春樹はキーボードを叩き出した。それも物凄い早さで…。

カタカタやっている画面は、相変わらず数字ばかりで、春樹がそれを理解してやっていると言うことを示唆していた。

「すげーな。」

「…?何が?」

純粋に感嘆の声をあげた慎吾に、手の動きを止めずに春樹は首を傾げた。

「何がってそのスピード。……パソコン検定何級?」

「……何?それ?」


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