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ベーシックインカムと無用者階級の飼育

作者: take
掲載日:2026/04/06

AIとロボットによって労働の価値は0になるだろう。


それらによって価値を失わないだけの僅かな人々のみが社会的価値を持つに留まる。


大多数の社会的価値を持たない人々はどう生きるのか。


通常であれば別の仕事を見つけるなりなんなりするだろう。


だが、最早彼らに残された仕事などない。


肉体労働でも知的労働でも彼らより優れた存在がいくらでも、無限に替えがきく。


であればどうするか。


金も技術も仕事もない食い詰め者=無用者の行きつく先は1つしかない。


食い詰め者が犯罪に走った話など珍しくも何ともない。


現代ではまだ、このAIとロボットによる置き換えの推移が致命的な水準には至っていない為、そんな事件が発生しても「ああ、またか」と対岸の火事程度の認識しかない。


もしこれが社会全体に広がればどうなるか。


各地で暴動や反政府運動が発生しうる。


そうした問題を事前に防ぐのがベーシックインカムだ。


ベーシックインカムとは理想郷ではなく家畜の首輪に過ぎない。


暴動が発生する条件は2つ。


1つは「失うものがない」、所謂無敵の人。


もう1つは「倒すべき敵が明確である」ことだ。


しかしこれらは上記の世界では達成されることはない。


人々はベーシックインカムにより少しだけ与えられる。


生きるのに問題のない生活、食事、娯楽。


最高ではないかもしれないが、まあまあ楽しく快適な生活がある。


暴れればその生活が奪われてしまう。


2つ目は?


仕事を奪った原因であるAIとロボットを破壊する?


ロボット会社のCEOの顔面をぶん殴りに行く?


過去には米騒動やラッダイト運動といったものがあった。


人々は米屋を、役人を、政府の倉庫をぶち破り米を奪った。


職人たちはハンマーでミシンを叩き壊した。


だが、そんなことが可能だろうか?


自動警護ロボットやドローンにミンチにされるのが関の山だ。


飛び散った肉や血液も清掃ロボットの完璧な掃除によって後すら残らない。


奇跡的な巡りあわせでデータセンターを破壊したとして、数時間後にはバックアップで元通りになる。


そんな程度のことは誰にもわかる。


だから彼らは暴動は起こさない。


起こす理由がない。


起こすべきではない理由がある。


デジタル・ラッダイトは起こらない。


スマホの通信が切られれば、「満足な生活」すらも送れない。


ベーシックインカムの実現によって、人間は最も大切な肉体的生を確保することが出来る。


これにより最も忌避すべき肉体的死を回避することが出来る。


昨今、「自分らしく」や「プライベート」という言葉が根強い。


こうした風潮もベーシックインカムには追い風になるだろう。


ベーシックインカムの表向きの理念は美しく、人道的で素晴らしい。


「技術の発展によって、人間は労働から解放されるべきだ。更に生活を保障しよう」


そうして一定の金を払うことで時限爆弾とも言える市民の暴動を防ぐ。


ベーシックインカムは安全保険、安全の税金なのだ。


動物は食事、生殖、生活の管理で家畜になった。


この家畜化が数世代続けば、誰もその環境に疑念を抱かない。


そもそも抱く人間すらいないかもしれない。


家畜を永遠に飼い続けるのはコスパが悪い。


だから最終的に必要なのは、満足した豚と、不満足な人間、どちらがマシかという選択を無用者たちに自ら選ばせることだ。


無限に溢れるポルノ、AI恋人によって彼らの生殖本能は奪われる、いや捨てる。


彼らは自発的に遺伝子を断ち、数世代後には極一部のエリートとAIだけのクリーンな地球となる。


家畜には食事と快適な環境以外にも彼らにとって有意義な生きる意味も同時に与えられるだろう。


疑似的な承認装置、消費可能な使命感、与えられた怒りと感動。


例えば推し活、ポリコレ運動がそれだ。


推しのために生きている、という薄っぺらい肯定感の為に金を貢ぐ。


推しの卒業、炎上、スキャンダルに直面すれば怒り狂い、泣き叫ぶ。


人生終わったと嘆く。


そして彼らは次の推し、消費し依存する先を探す。


ポリコレ運動は何も持たない彼らに、様々な優位性(と彼らが思うもの)を与える。


弱者の立場を利用して不公平を訴える。


インターネットで学んだ知識で政治を説く。


彼らは最早、搾取されていることに気が付かない、いや搾取する必要すらない存在となったことにも気が付かない。


推し、ポリコレという玩具を使って大人しく遊んでくれていればよい。


子育てに疲れた母親がyoutubeに保育をさせるように。


そして彼らは、自らの血統が途絶えることを「進歩」と信じながら、静かに笑って絶滅していくのだ。

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