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百のスミレと千のユリ  作者: 水瀬 悠希
神様たちは大騒ぎ
8/62

わかっていた結末

番外編(登場人物のまとめ的なもの)を18時に投稿します。

本編とは関係がありませんが、裏設定とかネタバレがあるかも。

みなさまよろしく。

 女神は、冬夜を軽く抱きしめるとおでこをくっつくけた。


『じゃあ、見せてあげますね』

「うぇへへ…… うわあぁぁっ!」


 いきなり僕の頭の中に、あの朝に駅で起きた映像が流れ込んできた。

 僕のささやかな抵抗は、頭の中に流れ込んできた映像に押し流された。

 あの朝、僕が駅で片岡を煽って。そして……


 ──てめぇ、殺してやる!

 片岡に殴られるのと同時に身体を後ろに流した僕の身体は、ホームを越えて線路に向かって飛んでいった。

 次の瞬間にはホームを通過中の電車に、完璧な角度で……


「うげっ……」


 時速80キロで疾走する電車に飛び込んだ俺の身体が、どうなったのか……

 その後の惨状にモザイクがかけられていたのは、ひとえに神の慈悲だろう。

 でも、モザイク越しでも俺の身体は(自主規制)になったのが分かる。

 たしかに、あれではなぁ。女神様の言った事も頷けるよ。


 ──冥府の神でもあなたの蘇生は無理でしょう。


 ちらりと、女神様の言葉が脳裏をかすめた。

 うん、神ならぬ人間だった僕にも分かるよ。

 あれでは…… あんなになってしまったら。

 神様でも、蘇生出来るようなレベルでは……


『私なら肉体の復元も不可能ではありませんけど』

「……もう、いいです…………」


 僕は、へたへたと床に座り込んでしまった。

 女神様は、ああなった身体でも元に戻せるって言うけれど。

 仮に身体を復元してもらったとしても、すぐに死んでしまうかも。

 それ以前に、アレを見てしまったら、まともな生活なんか出来っこないよ。


「は… ははははは……」


 一気に気力を失った僕は、乾いた笑い声を出す事しか出来なかった。

 僕は、心の奥底では、ちょっとは期待していたんだろう。

 瀕死の重傷を負ったとしても、ひょっとしたら…… って。


 死ぬ事なんか怖くない。


 そう思っていたのになぁ…… でも、アレを見たら心が折れた。

 心の中に広がったのは、何とも言えない虚無感と言う名の、闇…… だ。


「まあいいや、どうだって……」


 その様子を静かに見つめていた女神は、冬夜に向かって手を差し伸べた。


『あなたの反応を見ていると煩悩はあれど、私への害意は無いようですね』

「もう、何が何だかわからなくなってきた……」


 僕はおねえさんの手を借りて、立ち上がる事が出来たけど、あ… だめだ。

 バランスを崩して倒れ込んだ僕の身体を、神様は優しく抱きとめてくれた。


「ええと…… ようこそ、神の間へ。冬夜くん』


 目の前の神様は、そう言ってにっこりと笑ってくれた。


『あなたがここにたどり着いたのも何かの縁ね。あなたとお話したいわ。

 あっ、そう言えば… お腹は空いてない?』

「はぁ……」


 神様が軽く片手を振ると、部屋の中がいきなり和風のそれに変わった。

 床は畳敷きで、壁や天井はすんごく豪華なものに変わっていた。中学校で西の都に修学旅行に行った時にで見学した御所(ごしょ)… みたいな部屋だ。

 ひとつだけ違和感があるとすれば、これかな。


 部屋の真ん中には、部屋の豪華さに見合わないちゃぶ台が… ある。

 それは古びてはいるけれど、大切に使い続けられてきたんだろう。

 丁寧に磨き込まれた木材だけが醸し出せる風格を感じる。


 ふたたび女神様が腕を振ると、ちゃぶ台にはフードカバー──正式にはクローシュって言うらしい──が、かぶせられたお皿がふたつ。


 ……うん、これは断れないよね。


女神様に、色々とわからせられた冬夜くんでした。

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