胸囲の格差社会
番外編(登場人物のまとめ的なもの)を18時に投稿します。
本編とは関係がありませんが、裏設定とかネタバレがあるかも。
みなさまよろしく。
「……ぉ?」
気が付いたら窓の外が明るくなっている。
ああ、そうか。あのまま僕は眠っちゃったのか…… うむむ、何だろ、これ。
寝ぼけていた意識が、ほっぺたに広がる奇妙な感触で目覚め始めた。
何だろう、いい匂いが…… 石鹸のようだなあ……
すんすんと、鼻を鳴らしつつ、ぼんやり目を開けると。
美月が、にまにまとイイ笑顔をしながら僕を見下ろしていた。
「おにいは甘えん坊さんだねぇ」「……えっ?」
それを聞いた僕の全身から、ぶわあっと、汗が噴き出てきた。
うわあ、うわあ! これじゃ逆夢じゃないかよぅ。
夢の中で出てきた4本腕の神様、これはあんまりだ。やり直しを要求する!
「ねえねえ、おにい。あーしの胸…… 気持ちよかった?」
「……ンなわけないだろ」
中学生の美月は、それなりに出ているところは出ている。それは否定しないけどね。
でもね、そいつはさ、あくまでも、年・齢・相・応に、ってとこだ。
僕の周りにいる女性ってさ…
母さんもだけど、友里さんとか、芹沢博士とか美斗…… も、そうだな。
みなさん全国平均以上に、良いものをお持ちなのだ。
フェイリアのような新高山クラスとまではいかないけど、どちらも富士山クラスって言えば理解してもらえるかな。
それに比べれば、美月は…… 筑波山ってとこか。
「えー? だって、おにいったらぁ、こんなになってるしぃ?」
「これは生理現象だっ! 決してお前に反応した訳じゃないっ!」
「ふぅん? じゃあ、改めて……」
だから服をぬぐなっ。身体を押し付けるんじゃないっ!
と、その時に救世主が──流動食と点滴パックを持ってきてくれた──友里さんが病室に来てくれたんだ。
「あらあら駄目でしょ、美月ちゃん。冬夜くんを虐めるなんて。いくら優しいおねえさんでも怒るわよぉ。ね~え、冬夜くーん。はい、これで機嫌を直してね」
「あたっ、当たってるんですけどぉおお?」
って、どさくさまぎれに抱きしめないで?
「あーし、おにいを虐めてないわよっ。胸を当ててただけでしょー!」
「それ骨でしょ? 貧民は冬夜くんから離れなさい」
だーかーらー。両方から胸を押し付けないでくれぇ!
特に友里さんの柔らかくて大きなものが、僕の頭を優しく包み込んで……
しむっ! 息できなくなって死むから!
……あああああ、何だか気持ちがよく…… 顔を見た事も無いひい爺ちゃんが川の向こうでおいでおいでしているのを見たような気がする。
「ちゃんとあるもん……」
「いい? 美月ちゃん。前にも言ったけどね、『ある』というのはね、こういう事なの」
腕を身体の前で組んだ友里さんは、そのままぐいっと腕を持ち上げた。
勝ち誇った笑みを浮かべる友里さんって…… うぅむむむ……
まさに山が動いたって感じがするね。
「むぎぎ…… 大きけりゃいいってものでも!」
「Bは平民、Dなら貴族。こんなの常識でしょ? 今のあなたは平民以下なのよ」
「そんな事ないもん…… ねえ、おにい。何とか言ってよぉ……」
ごめんよ、美月。さっきのは僕が間違っていたよ。
筑波山じゃなくて、御殿山だったね……
「むぅ、おにいが悪口を言ったような気がするんだけどぉ?」
「うふふ、気のせいよ、気・の・せ・い」
ベッドを挟んで、2人が睨み合う事しばし。ここ最近は仲が良かった筈なのになぁ。
うわあああ、なんかまた静電気がぱちぱち言い始めた。
怖いよぅ、誰か助けて……
「こほむ?」「!?」「えっ」
ああ、これで助かった。
そうだよね、この時間になって、この人が来ていない筈はないんだ。
ねえねえ、ここはひとつ、びしぃっと言ってやって?
頼んだよ、母さん。ここはひとつ大貴族… じゃなくて……
「あなたたち? そういうのは母親のいない所でやってくれない?」
「「ごめんなさい」」
とかく格差社会はせちがらい……
山の話が出てきたので、資料をめくりめくり…… あ、あったあった。これだ。
新高山(台湾・現地名:玉山):標高3,952m。東アジア最高峰。
富士山(山梨県/静岡県):標高3,776m。日本最高峰。
筑波山(茨城県):標高877m。西の富士、東の筑波と言われる関東の名峰。
御殿山(北海道):標高334m。13の山々で構成されている函館山の最高峰。




