表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
百のスミレと千のユリ  作者: 水瀬 悠希
夢見るように、ねむりたい
52/62

○○な博士は増殖する

 あっという間に松の内も明けてしまったよ。

 いやはや病院に担ぎ込まれた時は、まさか病院で年を越すとは思わなかった。


 足の骨折は夏のうちに完治しているけど、相変わらず身体は動かないままだ。

 芹沢博士の他にも、国立病院で精密検査をしてもらったり、大学病院から来た博士に血を抜かれたりMRIにかけられたり。他にもオカルト的なモノまで色々な事をしたんだ。

 んで、結論はこう… だ。


「君の身体が動かない理由だが…… 正直に言って原因が分からない」


 ぶっちゃけると…… これが、結論だ。どこにも異常が見当たらないんだ。

 でも身体──たとえば右手を動かそうとすると……


 脳は間違いなく、右腕を動かせという命令を神経に送り出している。

 それは間違いないんだ。脳波計をはじめ、いくつもの検査機器で、幾通りもの検査をした結果、ちゃんと数字は出ているからね。

 でも、神経を通じて筋肉に送り込まれているはずの命令が、途中で消えている。


 わざと動かさない訳じゃないからね?

 そんな事をしても複数の検査機器を誤魔化す事は出来ないし、麻酔をかけて意識を眠らせた上で検査をしても、結果は同じ。

 じゃあ、神経がどうにかなっているのかと言うと、そうでもない。


「分子レベルの検査でも神経系に異常は無いし、ホルモンバランスも基準値だ。

 脳内活動の分析結果を見る限り、心因性の──トラウマなどでもないね」


 つまり、全くの健康体ってわけ。だけど身体が動かない。

 芹沢博士の診断書が決定打になったみたいで、難病と言う事で手帳をもらう事になった。

 ちなみに、入院費用とかは心配しなくて済むそうだ。

 今のままでも数年間はこの病室に引きこもっていられるらしいんだけどね。


 いちばん大きな収入は、政府からの報奨金──この年でオトウサンになっちゃった──と言う事だ。それも出産前検診の結果、3人の息子と6人の娘って……

 ちっ、誓って言うけど僕は無実だ。清い身体なんだかんね!?


 ……いや、待てよ?


 ……まさか、ひょっとしなくても?


 たしかにそういうコトがあったとしか思えないんだけどさ。

 その手の治療… でいいよね。場合によっては健康保険もきくって話は、けっこう話題になったのを憶えてる。そういう意味では、心当たりがないわけじゃないんだよね。

 七夕とかお月見とか彼岸とかハロウインとかクリスマスとか…… ぅあああああ!


 はあはあぜえぜえ…… 次いこう、次!


 あとはVRゴーグルやに連動している端末テストの報酬だろう。

 どうやら、僕のような全身麻痺になったケースでVRゴーグルの運用は初めてらしい。

 元々は国連宇宙軍で使う機材だから、ありとあらゆる状況で使えなくちゃ意味がない。そう言う意味では、僕のような寝たきりでも充分に役に立てる筈!


 そういう訳──って、どういう訳か視線入力式のVRゴーグルだけじゃなくて思考制御ユニット──ピンク色をしたこけしサーバーの──テストもやる事になったんだ。

 体のいいモルモットだけど、やばそうなテストは拒否権もあるならいいか、ってね。


 それにしても、研究所の動きは早かったなぁ……

 産業研究所の人がやって来たのは、芹沢博士の精密検査が終わった3日後の事だ。


「君が泉水君だね。私は山之谷、この端末の開発責任者だよ。で、彼女が……」


 上機嫌に身体を揺らす山之谷女史って…… 母さんよりちょっと、って感じかな。

 一緒に来た岩本さんは、彼女よりは少し若いかな。そして、どっちも芹沢博士の同類。

 つまり、マ… 研究熱心な女史という人種だ。干物とも言う。


「……なんかレスポンス良すぎじゃないですか?」

「テスターが現れたと聞いて、嬉しくてねぇ…… さっそく来てしまったんだよ」

「さいですか……」


 熱に浮かされたような目つきを見ていたら、やっぱ芹沢博士のお仲間って感じかな。

 うぇへへへとばかりに、にじり寄らないで? とっても怖いから。

 岩本博士がいなかったら、何かされていたかも。

 それにしても、この手の人種って『待て』が出来ないんのかなぁ。


 だってさ、今の僕はリハビリ中なんだ。電気治療、要は身体中に電極のついた吸盤を貼り付けて、色々なパターンで電気を流しているんだ。

 電気刺激を受けた筋肉が、ぴっくんぴっくん動いているんだけど、当然のことながら服を着たままという訳にはいかないんだ。


 そういう治療の最中に、この人たちが突入してきたってわけ。


「治療器も研究所で開発したものだから、問題はないね。存分にリハビリたまえ」

「はぁ……」


 適当に相づちを打っている間になんだか眠くなってきた。

 もう寝てても良いよね……


 ……ぐう。

以前、1週間は安静にと入院生活をした事があるのですが……

退院するころには冗談抜きで体力がガクっと落ちていました。実感したのはスーパーでお米(5キロ入り)の袋をカートに入れようとした時かなぁ。

お医者様と相談してラジオ体操を始めたけど、しばらくは筋肉痛がががが……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ