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百のスミレと千のユリ  作者: 水瀬 悠希
終わりの始まり
3/5

光と闇の彼方へ

 ぐしゃっ。


 僕の身体に電車がぶつかった時に、身体の内側から妙な音が聞こえた。

 意外と、衝撃とか痛みは感じないんもんだなぁ……


 それがこの世で経験した事についての最後の感想。

 こうして僕…… 泉水 冬夜(いずみ とうや)の人生は終わった。

 はは…… ははははは。

 これでいい。これで復讐は成った……


 そう。


 僕があいつに殴られるように仕向けたのは、わざと、だ。

 その結果、僕が電車に轢かれて命を落とす事になるのも、計画のうちだよ。

 だから、これでいいんだ。これで、全部… 終わりに出来るよ……


 今まで振るわれてきた数々の暴力だって。

 バイトの給金や小遣いを、あいつに巻き上げられた事だって。

 担任に、いじめられている事を相談しても、無視され続けてきた事だって。

 全部全部、歯を食いしばって我慢してきたんだ。


 今日までずっと我慢したけど、それは無駄な我慢だった。

 全て、あいつらの手のひらの中で踊らされていただけ。

 はははは、とんだピエロだったよ。

 だから、これは復讐だ。


 片丘 史郎(かたおか しろう)。特にお前だ。

 どんなに謝られても、お前だけは絶対に許さない。


 ギギギギギ……


 今になって、電車の急ブレーキをかける音が聞こえる中で。

 僕の身体は──


 ああ、空に浮かぶ入道雲が、きれいだなぁ。


 宙を舞う僕の心に浮かんだのは、そんなのどかな感情だった。


 撥ね飛ばされた体の向きが変わって、プラットホームが見えてきた。

 片岡が何人かの駅員に取り押さえられているのが見える。

 何か叫んでいるようだが、ザマーミロ。

 これでお前がした事は、言い逃れが出来なくなったな。


 駅員の他にも大勢の目撃者がいるのが見えてきた。

 中にはスマホ片手に写真を撮ってる奴がいるかもな。

 それに、わざわざ監視カメラの視界に入る場所を選んでいるからね。

 これで証人には事欠かない。


 それだけじゃない。


 僕の部屋には、最後の一押しをする証拠がある。

 机の上には色々な書類と、1本のUSBがそれだ。

 書類と言うのは遺書と…… 片岡たちから暴行を受けた後に、病院で書いてもらった診断書がメイン。


 USB中身は、あいつらから暴行を受けた時とか、お金を脅し取られた時の会話なんか録音が残されている。

 そして、片丘と美斗が毎日のように旧校舎で交尾していた動画──たぶん上手く録画出来ていると思う──も一緒にね。


 万が一のことを考えて、USBの中身はSNSにもアップしておいた。

 予約配信モードを使ったから、世間の目に触れるのは昼過ぎになるよ。

 もしもあいつの父親が駅で起こった『事故』を、うまく握り潰しても。

 駅での出来事の処理で一段落したタイミングで情報が拡散するだろう。


 ははは……


 なあ片岡。


 こいつが絶望の淵の向こう側にいる僕からの、最後のプレゼントだよ。

 いつもおまえたちは、プレゼントを寄こせとか言って、お菓子やジュースを買いに行かせただろ?


 さあ、遠慮なく受取ってくれ。

 僕からの、プレゼントをさ……


 ……ごめんよ、母さん。

 ひとりぼっちにさせちゃって。


 僕は母さんより先に、病気で逝った妹や父さんのところに行くよ。

 たぶん、間違いなく会えると思うんだ。

 いや、無理かな……


 でも……

最近は虐めよりも、エロ教師の方が問題かも。

そして、警察に捕まって、前科が付いて。

それでも教員免許が剥奪されない…… 事もあるとか。

いっそのことポ〇されてしまえばいいのに。

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