末の妹神もやってきた
嘆願書の話が一段落した後も、しばらくラ-リィとの雑談は続いていた。
もちろん冬夜くんは私が、ちゃーんと抱きしめているわ。
いくら双子の妹でも、彼は渡さないからね? 冬夜くんは、私のものよ。
『いいじゃないのよぅ、私にも抱かせてよぅ』
『だぁめ。冬夜くんが穢れるじゃない』
『えええええ? この子だって、私の胸の方が居心地がいいと思うけど?』
ラ-リィは横目でチラリと私を見ながら、ゆっくりと腕を組んだ。
むにょん、と音でも立てるように、服が盛り上がる。
ぐぬぬぬぬ。
いつ見てもあの胸は…… 同じ設計データから創造されたというのに、姉の私よりデカい胸なんて、あってはならない事だと思うの。
さすがに、プライドがあるから、口に出したりはしないけどね。
そんな事をしたら、ちょっとした喧嘩になりかねないかも。
私たちが本気で喧嘩を始めたら、大宇宙にどんな影響が出るのか想像する事すら恐ろしい。それくらいに、私たち上級神が大宇宙に与える影響は大きいのだ。
たとえ惑星管理神クラスの喧嘩でさえ、世界の終末を招きかけたのだから。
そう言えば、大体のところは察してもらえるかしら。
『ふむ、ヤマラジ君の正妻の座から降りても良いと?』
『姉様ぁ。それ、冗談にしては出来が悪すぎると思わない?』
『ねえラ-リィ。あなた本当にそう思ってる?』
あなたの旦那様はね、お気に入りの笏を妖精の一族に盗まれて、仕事が手につかないくらい気落ちしているのでしょう?
それにも関わらず、滞りなく彼の仕事が進んでいるのは、誰のお陰かしらね?
川の向こうで活躍している、あの姐さん。最近とみに仕事に精を出しているそうじゃないの。あれだけ『デキるオンナ』をアピールしているんだもの。
ああなったら誰だって…… ねぇ?
『えええええっ?』
『……じゃないでしょ、しっかりしなさいよ』
知ってるでしょう? あの川をどうやって渡るのか。
死者の魂が、あの川を渡るには3つの方法があるの。
善人には、立派な橋を。たぶん冬夜くんもこのクチね。
ちょい悪な人たちには、流れの緩やかな所に渡し船を。
どうしようもない悪人達には、濁流を泳いで渡らせる。
もう少し細かい決まりがあるけど、基本的にはこんなところ、かな。
それを決めているのが、あの姐さんなのよ。
つまり、この時点で義弟が判決を出すのと同じような事だと言えないかしら。
彼女がしている事って、つまりはそういう事なのよ?
『え、え、え……』
ふっ、ざまあ。
あんたが人間界で疫神として遊び歩いているうちに、彼女にがっちり外堀を埋められてるじゃない。いまさら顔を青くしたって、もう遅いかもね。
さあさあ、冬夜くんに構っている今でも、離婚までカウントダウンが進んでいるかも知れないわよぉ?
『ここで私が口を滑らせたりしたら、どうなるかなぁ?』
『おっ、おねえさまぁああ!?』
よしよし、可愛い妹のお願いだから、黙っててあげるわね。
その代わりと言ってはあれだけど…… ラ-リィ。分かっていますね?
はい、よろしい。それでこそ私の可愛い妹よ。
『フェイねえ、あーしも来てるんだけどぉ?』
『サーリアまで…… あんたは来なくていいのに』
サーリアは末の、私とラ-リィの妹で。
まだまだ幼いように見えるけど、この子も旦那持ちなのよね。
それも、誰もが憧れる超がいくつも付いている優良中の優良物件なのよ。
何というかデキる神と言えば、彼は何柱かいるトップクラスの神かな。
ある時はさえない下級神。またあるときはインドの魔術師……
しかしてその実体は、正義と真ji…
『わああ、それ以上はっ!』『むがげごっ!?』
慌ててサーリアに口をふさがれちゃったけど…… バレたかな?
バレていないわよね? ……義弟の正体。
ふうぅぅぅ、よかった。
『おねえぇ、バレたら大変な事になっていたかもぉ?』
全くです。創造神様のお耳にでも入ろうものなら、絶対に言われますよ。
久しぶりに食事でもしながら、ゆっくりOHANASHIしようか… って。
……あれはもう嫌ですからね。
あの特上寿司のフルコースは……
創造神様の奢りの特上寿司のフルコースなら、さぞかし映えるでしょうねぇ。
だからと言って、食べる気はしないけど。




