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百のスミレと千のユリ  作者: 水瀬 悠希
神様たちは大騒ぎ
20/62

双子の妹神がやってきた

 うふふふ。

 冬夜くんの寝顔は、可愛いわねぇ。ずーっと眺めて…… も、いられないか。

 身体がもぞもぞ、ってと動き始めたから、そろそろ目が醒めるかも。

 ちょっと悪戯しちゃおうかな。


 っと、冬夜くんにエッチないたずらとか、そんな事は思っていないわよ?

 ズボンを可愛く押し上げるテントの中身には興味はあるけど……

 うん、焦らない、焦らない。機会ならいくらでもあるんだもの。


 ダッキーなら、構う事ないじゃない? って言うかも知れないわね。

 好きなオトコなんだから、目移りされないうちにグッとやっちゃいなさいよ。

 ……なんてね。


『うーん、どうしようかなぁ』


 気が付いたら、私の両手は冬夜くんのズボンに手を伸ばしていた。

 そうなると、必然的に起きる事は…… 想像できるわよね。


「えっ!? ……おぶぅっ?」


 そう。私のおっぱいが、冬夜くんのおでこに軽く押し付けられる事になるの。

 びっくりして飛び起きた彼の頭上には、そういうモノがあるわけで。


『ああん♪』


 想像以上に思いきり、冬夜くんにおっぱいを下から突き上げられた私は思わずバランスを崩してしまって。前のめりになった私は、ひっくり返らないように前のめり気味にならざるをえなくって。それが余計におっぱいを押し付けてしまう形になって。

 半分パニックを起こしかけた彼の手で、私の双丘は乱暴に揉みしだかれていた。


『駄目よ、冬夜くん。おっぱいはね、もっと優しくしなくちゃ… あんっ♪』


 あ……

 これ、ちょっと良いかも……


 だってぇ、テントも順調に増築されているし、これはWIN-WINの関係、よね?

 彼の手で乱暴狼藉をされて形を変える双丘から、甘く痺れたような感覚が広がっていくのは、とっても心地が良いの。

 でも、その心地よさは、突然止められて。


「――フェイリア!?」


 ああん、もう少しだったのに……

 目が醒めちゃったのね、残念、残念。


『おはよう、冬夜くん』


 うん、冬夜くんが一緒に居てくれるなら、この先何度でもチャンスはあるもの。

 時間なら、いくらでもある。だから、ゆっくり、とろとろと。

 でろんでろんに甘やかしてあげよう。

 創造神様だって、この程度の事は許して……


『創造神様が許しても、妹の私としてはねぇ……』

『げ!?』


 ニマニマと笑いながら部屋の奥から姿を現したのは…… 妹神の一柱だ。

 双子なので、私の色違いと言ってもいいほど私にそっくりなのは当然だ。

 彼女の名前は、ラ-リィ。


『姉様にしては、良い趣味をしてるじゃない』


 そう言うと、ラーリィは冬夜くんの頭のてっぺんから爪先まで、舐め回すように見ながら呟いたのだ。こんの性悪女神めぇ! そんな事だから、あんたは……


『旦那を放っといてイイ度胸じゃない。チクるわよ?』


 私にとっては義弟にあたる彼は、人間界で言うところの裁判官だ。

 30年ほど前に妖精族にお気に入りの(しゃく)を盗まれてからは、ずいぶんと気落ちしているようだけどね。

 だからこそ支えてあげないと、ダメでしょ?


『旦那が判決出す前に、向こう岸で判決出てるから、いーの』

『はぁん? 何言ってるのよ、判決出すのは義弟の仕事じゃないのよ』


 うん、言っている事に間違いはない。

 人間界の果てには、ひとすじの川が流れている。この川を越える前なら、魂魄は自分の身体に戻る事が──生き返る事が出来るのね。

 逆に、この川を越えたら、よほどの理由が無い限り後戻りはできないの。


『そう言えば、しばらく前に死者の魂を返してくれって手紙が来てたわね?』


 その閻魔大王への嘆願書は、一人の武将が出したもの。

 日付は慶長二年(西暦1597年)… 内容は『この者どもを使いに出すので、死者を返してくれ』というものだったかな。


『あ、それね? 脚下に決まってるじゃない』


 うんうん、私もそうだと思ってた。

閻魔大王にお手紙出しました…

なんて書くと、異世界転生モノを想像しちゃいますけれど、ちょーっと違うんですよねぇ。

お手紙の差出人は、あの直江山兼続なんです。

これって資料不足で本当のところはどうなのか分かりませんけど、あの人なら本当にやりかねないかも。

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