ユメの管理人さん
想像してみたことはありますか。
寝ているときに見るユメのこと……。
怖いユメ、悲しいユメがいつの間にか楽しい、愉快なユメに変わっていませんか。
これは、みんなのユメを管理している、管理人さんのお話です。
1人の子どもが、友達とお話をしているところにやって来て言いました。
「ねぇねぇ知ってる?寝ている時に悪いユメを見るとね、ユメの管理人さんが来てね、悪いユメから楽しいいユメに変えてくれるんだって」
それに答えるように他の子どもたちが話し始めました。
「それ、私も聞いたことあるよー」
「僕、悪いユメ見た事なーい」
「悪いユメってどんなの?」
「えっとね……怖いユメ!」
「おばけとか出てくるんだよ」
「それやだー。怖いのやだー」
「ユメの管理人さんって、どんな人なんだろうね」
「きっとでっかい人なんだよ」
「パパみたいに?」
「知らなーい」
「キャハハハハ」
「会えたりするのかな」
「知らなーい」
「キャハハハハ」
子どもたちがうわさで話している“ユメの管理人さん”。
今日も忙しくせっせと働いていました。
「なんというユメを見ているんだ!これはすぐに変えないと!」
「こっちでも、うなされているではないか!」
「悲しい思いはしなくてもいいんだよ」
「怖いユメも見なくてもいいんだよ」
あっちをウロウロ、こっちをウロウロ……。
ユメの管理人さんは大忙しです。
小さなシャボン玉のようなアワがフワフワと浮かび上がるこの場所は、みんなのユメがたくさん集まる広場です。
怖いユメ、悲しいユメを見ている人がいると、アワの色が白色から黒色に変わるため、管理人さんはすぐさまそのアワまで飛んでいきます。そして、管理人さんが手で優しくアワを包んであげると、元通りの白色へと変わります。これが管理人さんのお仕事です。
寝る時間が人によってはバラバラなため、管理人さんはいつも大忙しです。
みんなが気持ちよく眠れますように……
管理人さんはいつもみんなのことを思っていました。
ユメの中だけは、誰かが怖い思い、悲しい思いをしてほしくない。
そんなある日のことでした。
管理人さんのもとに、一通の手紙が届きました。
ユメのかんりにんさんへ
いつも、わるいゆめをたいじしてくれてありがとう
おおきくなったら、かんりにんさんみたいに、わるいユメをやっつけられるひとになりたいです
「なんともうれしいことを……」
ですが、管理人さんはどこか切なそうな顔をしていました。
それもそのはず……。
ユメの管理人にどうすればなれるのか、管理人さんさえわからないことなのです。
「私がこうやって仕事をすることで、みんなが悪いユメから解放されるのであれば、それだけでうれしいんだよ」
そう言いながら管理人さんは、届いた手紙をそっと机の引き出しにしまいました。
この引き出しには、これまでに届いた何通もの手紙が収められていました。管理人さんにとって、とても大切な宝物なのです。
こうしてまた管理人さんは、みんなのユメの管理をするためにアワが集まる広場へと向かいました。
「今日も悪いユメを退治するぞー!」
虎娘『ユメの管理人さん』
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童話、初挑戦です!!