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プロローグ

 青春って何だろう?大人はいつも、


"青春"


という二文字を使いたがる。でも僕は、小学校を卒業しても、中学校を卒業してもその答えは分からなかった。高校生こそは分かると良いな。一度しかない中学生から高校生になる春休み。これから始まる高校生活に期待しながら、あの場所に向かった。

 

 

 白い砂浜、何処までも続いているように見える水平線、波の押し寄せる音。たまに吹き寄せる春風が心地良い。海を見ているといつも君のことを思い出す。

 君はどれだけ覚えているのだろう?あの頃、夕日に向かって歩いた通学路、競い合った影帽子、君と僕だけが知っている海までの秘密の抜け道。

 僕は全部覚えている。君の整いすぎている横顔、君がよく歌っていた鼻歌も君が空手が得意だったことも全部。

 僕にとって君はヒーローだった。僕を助けて守ってくれた。僕が泣いている時、君はいつも誰よりも早く気付いて駆け寄ってくれた。君は慰める訳でもなく、ただ優しい空気で僕を包んで側にいた。僕は君から沢山の優しさと幸せをもらった。

 なのに、僕はあの時、君の手を掴めなかった。


「行かないで。」


って素直に言えれば良かった。信号が赤に変わるように、口実を作って君を引き留められたら良かった。僕は君にもらった心の中の宝物を何一つ返せなかった。僕は君に似合う男ではなかったんだ。

 君に似合う男はきっとかっこよくて、人気者で何をしても完璧な恋愛漫画に出て来る主人公みたいな奴だろうな。そんな奴、現実で見たことも聞いたこともないけれど。でも、君に似合う男ってそれ位しか思い付かない。

 きっと君は今も何処かで幸せに暮らしているのだろう。今の君は何が好きで何が苦手なのか知りたい。君の笑顔を見たい。君に会いたい。それはもう物凄く。君に会って話したいことが沢山ある。でも、もう君とは会えないんだろうな。もう一度出会う奇跡なんてそう簡単に起こらない。それでも僕は今日も君の面影を探している。諦めきれないこの気持ちを抱えながら。

 

 

 もうすぐ太陽が沈む。さぁ帰る時間だ。名残惜しいけど、また明日。美しい月が夜空に出て僕を惑わせてしまう前に。

 

 

 

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