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終わり  作者: 千夜 すう
第一章
9/30

奢る奢らない戦争

愛実に会った後は、実家に帰り、母が私の好きな物ばかりの料理を作ってもらって、家族の楽しい時間を過ごした。

少し、ぎこちなくてお互いが気を使っての食事だったが、すごく楽しかった。


彼に関しての話題は誰も一言を洩らさなかった。






月曜日。実家からの出勤。


朝、私は主任を見つけて近づいた。周りに聞こえないように、小声で




「今日のお昼どうですか?」




「いいよ。先に行っといて」




「了解です」






主任も私に合わせて、小声で話す。

話しながら仕事の書類を渡された。

その内容にちょっと鬼って思いながらも頑張って、やってやろうじゃないかと心の中で自分を鼓舞した。






お昼休憩時間



「優香ちゃん。いらっしゃいませ」



「あ、後でしゅ...えと、奏太さんが来ます」


いつもの癖で主任と言いそうになった。

この店にとっては私と知り合いなのは主任しかいないので、それはそれで伝わると思ったが一応、奥さんが知ってる呼び名に言い直した。



「分かりました。あそこの席にどうぞ」


案内されたのは2人用のテーブルだった。



言われた席に座る。

写真が乗ったメニューを見る。

全部、美味しそう。

迷って選べなくなるからやっぱり定番の日替わり定食かな。



「先に頼む?奏太くん待つ?」



水を持ってきた奥さん



「先に食べます。日替わり定食お願いします」





私は食べるの遅い方だから時間なくなると困る






「いらっしゃい...あっ。優香ちゃん。あちらにいますよ」





走ってきたのかな...。少し、息を切らしていた。






「いつもの1つ」


と奥さんに注文をして空いてる私の目の前の椅子に座った。



「お疲れ様です」



「あぁ」



「早速で申し訳ないんでけど、主任が言っていた知り合いの弁護士を紹介してもらいたいです。お願い出来ますでしょうか?」



「いいよ。今日の朝に覚悟した顔でお昼を誘ったから、そうなのかなって思って知り合いの弁護士に空いてる日を聞いたんだ。そしたら今日、空いてるって」




「ありがとうございます....えっ。それだけで分かるんですか!?もし、違ったらどうするんですか?私自身が予定が空いてなかったらどうするんですか?合ってますし、予定空いてますけど...」




「勝手にして申し訳ない。合ってなかったり違かったりしてたら、飲みに行こうって約束したんだ。」




「そうですか...。早めに相談できて助かりますので感謝します。ありがとうございます。」





「いや。勝手なことして本当にごめんね。お詫びに今日は俺の奢りで」





「いえ、紹介してもらえるのは助かりますし逆に私がここを奢らせてください」




「いやいや、でも勝手なことしたし」






奢る奢らないで押し問答になってるうちに、奥さんが料理を持ってきた。






「日替わり定食2つお待ちどうさま」



主任と同時に「いただきます」





今日は、きのこお味噌、鯖の塩焼きほうれん草のお浸し、梅干しとミョウガの漬物。






「家にある梅干しより美味しい!」




ただ、酸っぱいだけじゃなくて、甘みがあって美味しい




「実は拘った梅干しなの。ミョウガの方も食べてみて」




奥さんに微笑ましそうにミョウガを勧められた。




実は。ミョウガ苦手なんだよね....





ミョウガの爽やかな香りにシャキッとした歯ごたえが




「美味しい。実は私、恥ずかしいことにミョウガが苦手なんですけど、これは食べれます」




「嬉しいこと言うわね。作り方、簡単だから会計の時に作り方を書いとくね」




「いえ、そんな。いいんですか?」




「大丈夫よ。ミョウガの漬物の作り方は常連さんに聞かれたら教えてるの。奏太くんにも教えたわ」




「そうだったんですか...」





さっきから自分は関係ないみたいに黙々と食べながら話に入らない主任






「ミョウガ嫌いだったんですね」


主任が、ミョウガが嫌いだなんて意外だなと思いながらニンマリしちゃう。




「部下に知られたくなかった....もう、マキさんのせいで知られちゃった」




少し恨めしそうに呟いた主任





「私も苦手ですし...うん。ここのミョウガの漬物、本当に美味しい。」





「ここのミョウガの漬物を食べて吃驚したよ。食べれるって」





「私も驚きました!ミョウガがこんなに美味しく食べれるなんて....」




ミョウガの漬物は勿論、キノコのお味噌汁もホッとする味で美味しいし、鯖の塩焼きも塩加減が丁度よく、皮がパリッとして、身がふっくらしてる。





「そういえば、ここの奥さん。マキさんって名前だったんですね」





「知らなかったの?ちなみに、厨房で作ってる人は常連にゴンさんと呼ばれてる」



そうなんだ。さすが、常連の主任。




「今日は残業しないようにね。」




「はい。急ぎもないですし大丈夫です」




食後に案の定、誰が払うかで争ったが無駄に時間を食うだけだと悟り、自分の分は自分で払うことになった。




会社に着き、主任に先に行くように頼んだ。

私は、会社の一階のカフェコーナーにテイクアウトで、5つに切れてるチョコパウンドケーキとプレーンのパウンドケーキを買った。

チョコの方は主任の分で奢れなかった代わり。

プレーンは弁護士さんへの手土産。


何味が好きか分からないから無難なものにした。



主任が、ここのチョコパウンドケーキが好きだと前に同僚と世間話をしてる時に知った。



ちなみに、私はここのドライフルーツが散りばめられたフルーツパウンドケーキの方が好み。






まだ、契約してないけど潤と浮気相手待ってろよ。

お金をがっぽり取る為にこっちは戦う準備してるから今まで、気づかない馬鹿な私だったからって、これからも2人が幸せになれると思うなよ!


自分の気分を高めて、仕事に挑んだ





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