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終わり  作者: 千夜 すう
第一章
6/30

裏切り

一人暮らししてる家に帰って携帯を取り出す。今日の録音したのと前回撮影した動画を再生させた。

しっかりと二人の会話が入っていた。他の客の雑音も入っていたが肝心の二人の会話にはなんの支障もなく聞こえていた。

2人の顔も会計のシーンでしっかりと映っていた。


二度目でもキツイ。

自分の10年の歳月が無駄に思えて涙が流れる。


あの時は、今よりも幼くした顔つきで、顔を真っ赤にして一生懸命に、好きですと付き合って下さいと言われた。

あまりの一生懸命さに、いいよとサラッとクールに簡潔に答えたが、顔が熱くなって同じ位に顔を真っ赤にさせてクールに成りきれずいたのを、今でも覚えている。


初めてのデートは遊園地。

お互いに緊張して待ち合わせ時間より1時間早く着いたのを笑い合った。


初めて、手を繋ぐのも同じ日だった。

どこに乗ろうかと相談しながら彼がさりげなく繋いできた。

びっくりしたし彼の指先が震えてたの気づいて愛おしく思って、強く握り返したのを覚えてる。


初めて、キスしたのは彼の声が低くなり始めた頃だった。

まっすぐに私の目を見て、キスしたい。いいですか?と緊張していたのか声が硬く、普段ならタメ口なのに敬語で聞いてきた。


初めてのセックスは正直に痛かったし怖かった。

何回か重ねるうちに慣れた。


初めて、私の実家の遊びに来た時は彼は緊張のし過ぎで挙動不審だった。


初めて、彼の実家に遊びに行った時は、緊張し過ぎて声が震えたり裏返っていた。


お互いの両親に慣れて時間と共に、家族同然の付き合いとなって親同士の交流も良好だった。


プロポーズの時は幸せにするから結婚しようって指輪を渡された。


結婚報告の時は、いくら家族同然の付き合いになってたとしても緊張をしていた。


沢山の緊張して沢山の勇気を出した。喧嘩して仲直りして笑いあった日々。


私の沢山の初めて。


全部の記憶が偽物に感じて、ガラスが割れてバラバラと抜け落ちる感覚を味わう。





許せない。許せる筈がない。

彼と浮気相手の二人が騙したのは私だけじゃない。

お互いの両親も騙していた。

中学校、高校は一緒だったから共通の友人も騙していた。

長い年月だ。

私が知らなかっただけで、中には二人の関係を知ってる人もいるかもしれないけど…





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携帯に自分の母の連絡先が表示されている。

情けなく手が震えてる。

驚くのだろう。泣かれるかもしれない。悲しませると分かっていて報告するのは心が辛い。

勇気を出して、指を動かす。

コール音が鳴っている時、自分の鼓動が大きく聞こえる。


「はい。もしもし」


「お母さん、元気?」


「元気よ。今日ね。宮村さん達と会ってたのよ。お父さんも元気にしてるわ」


宮村さん達とは彼のご両親である。高校の時から、お互いの実家に出入りしていて、お互いの両親もその時から交流始めてたから、仲がいい


「あー。そうなんだ」


「どうしたの?」


「実は……」



両家の仲の良さも知ってるし、今日会ったばかりと聞くと、中々言いづらい



「なーに?」


温かくて優しい声色で聞かれる。



「結婚するのをやめた」


「はぁぁっ?何で急に?」


耳が痛いなって思うくらいに母は叫んだ。小さく、父の母さんどうした?大丈夫か?って聞いていた


(じゅん)が浮気してた」


「それは本当?勘違いとかじゃなくて?」


「証拠もある」


「今日、車でお父さんとそっち行く。証拠とか、お泊りの準備して」


「わかった」


驚いていた。そりゃ、そうよね。



母に言われた通り、急いで荷造りする。明日も泊まって、そのまま仕事に行こう。

彼は私との予定が無くなったから、今日からのお泊りになってそう。




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