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終わり  作者: 千夜 すう
第二章
30/30

打ち合わせ

前話の部長と表記してた所を課長に変更しました。

「主任、今日の午後の会議の打ち合わせなら纏めた書類を持っていきたいです」


スタスタとこのままなら会議室に直行する勢いから呼び止める。自分で纏めた書類だから内容は頭に入ってても保険で持っていきたくなるのが心理。


「あ~。そうだな。すまん」


何か煮え切れない様子に、少し違和感を覚えながら自分のデスクに向かった。


弁当と岩波ちゃんから貰ったチョコブラウニーを鞄に閉まって、必要な書類を頭の中でピックアップしながら手に取る。


(これと...これも必要かな)


必要な物を手に持って主任と小会議に向かった。少人数での打ち合わせ等で利用する事が多い小会議は、異性同士でも安全に使えるようにガラス張りになってるけど、大事な書類の内容が外から見られないように半透明になってる。


主任がドアを3回に叩いてノックをした。


「芳賀です。木佐を連れて来ました」


中から声を張り上げて許可を貰って、挨拶をして主任は入っていった。私も続いて頭を軽く下げて挨拶をして入ると、頭が後退して言って寂しくなりつつあるひょろっとした課長が座っていた。


「芳賀、パシって悪いな。木佐さんも急で申し訳ないです」


「いえ、大丈夫です」


「コーヒー、ご馳走様です」


主任は、軽く頭を下げて迷わずに課長の隣に座った。私は、課長と対面する席を勧められて座った。前回の打ち合わせをした時と同じ席順でなんの違和感もなく、持ってきた書類を大きな机の上に課長達に迷惑にならない程度に広げた。


「申し訳ないんだが...呼び出した本題が今日の会議の打ち合わせではないです」


(何か、やらかしてしまった?)


最近の仕事内容を思い出しても、ここまで呼び出されるような重大なミスをするような仕事は無かったはずで...見に覚えがないだけに緊張してしまう。


「急ですみませんが質問に答えて欲しいです」


「はい」


「何か会社で困った事はないですか?」


「ありません」


「本当に?...人間関係とか」


自分が想像してた質問ではなくて内心では「なに、なに、なに?」って感じで疑問に思いながら答えてく。


「普通に皆さんと良い関係を築いてると思います」


「そっか...」


あまり飲み会とか好きではなく、そういう場の交流が少なくプライベートの話はあまり知らないし休日での交流もない。それでも、皆さんのちょっとした心遣いが出来る方ばかりで心地のいい仕事場である。


「会社の人に恨まれるような心当たりはありますか?」


課長の質問にギョッと驚く。


「全く、ありません」


「そうだよな...」


はぁ、課長はでっかいため息を吐いていた。


その様子に、誰かに失礼な事をしたのか?と記憶を探っても分からなく、無自覚で失礼な態度をとってしまってクレームが入ったのでは?と思って焦る。


(誰に何をやらかしたかな...?)


どこか言い出しにくい空気を纏わせながら課長はおずおずとスーツのうちポッケから折り畳まれた髪を取り出す。


「実は...こんなものがデスクに置かれててねぇ...」


課長に差し出された紙を見た。


-木佐優香の本性がえげつない裏の顔


ドラマに出てきそうな紙に新聞の切抜きを貼り付けたのをコピーをされたような感じ。デカデカと大きく書かれたこの文字に驚いて、目に力が入るのを自覚しながら読み進めていく。


-清純そうに見えて人の彼氏を寝取るのが趣味な淫乱

-学生時代は援交の常習犯

-妊娠と堕胎を繰り返してる!?


酷い言葉が並べられてるのを見て唖然としてしまうのは仕方ないであろう。


私の視線の動きで読み終わった事を知った課長はおずおずと聞いた。


「一応、聞くが...この紙に書かれた事は事実でしょうか?」


「書かれてる事に1つも事実がありません。事実無根です!!」


気持ちが乗っかって早口で声を大きく否定する。


うんうんと課長は頷いた。


「木佐さんが、こんな事をするような人間ではない事は接してて分かってますよ。こういう事は、一応聞かなきゃ行けないから不愉快な思いをさせてしまって...すみませんでした」


課長はその場で頭を下げたのを慌てて上げるように言った。表情をみると本当に私を信じてると分かって、安心して感情的だった思考が冷静になっていく。


(会社の人に恨まれる心当たり...)



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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新お疲れです。 [一言] ん-?この頃どこかで聞いた内容ですな(棒 あの女の自己紹介にしか見えませんし やる事が学生のイジメレベルという程度の低さw しかし頭にきたので名誉棄損で死刑で…
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