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終わり  作者: 千夜 すう
第一章
11/30

お弁当組

木曜日の朝


明日は潤以外でプチ同窓会。


潤が浮気をしてる事実を知ってる人が居るかを聞くために開かれたのだが、とても憂鬱だ。

全員が浮気の件を知らなかったらプチ同窓会だと思い、昔を懐かしんだり、楽しんだりする筈の時間が台無しになる。

知ってる人が居たら、なぜ教えてくれなかったの?と怒りが()いてしまいそうだし、その中でやはり、知らない人も時間を台無しになる。


それを分かってるから少し憂鬱になってしまう。





ピコーン


憂鬱な朝に、潤からのメールが来て、落胆しながら内容をみる。


『今日、一緒に夜ご飯食べない? 』


うーん。

どうしようかなと迷い、岡崎さんにメールを送った。




『 元を早々につけたい婚約者に今日、会わないかと誘われてます。会うべきでしょうか?会う場合の注意点はありますか?』



会って不利になる事をしたくない。

岡崎さんから返信が届くまでは潤へのメールも返信しないでいた。




お昼休みの時に岡崎さんからの返信をみる。








『 早々に元を付けましょう婚約者さんは会っても構いません。普段通り、怪しまれないようにしてください』





「分かりました」



岡崎さんに返信した。



どうしようかなと思いながらも、1回は会っとこうかなと思い、潤にいいよとメールを打つ。






「今日はお弁当なの?一緒に食べよう」



声を掛けてくれたのは私より背が低く、目がぱっちりとしてて、控えめ可愛らしい小鼻でアイドルみたいに可愛いくて、男性に人気の同期の岩波 桃菜(いわなみ ももな)だった



「うん。いいよ!」



会社内で飲食できるスペースに移動。

お弁当組はここで食べる。

私は基本はお弁当組だ。たまに弁当を作るのが面倒くさい日や主任に相談したい事があったら、『 おかえりなさい』のお店にお邪魔する。


最近は、主任に相談する事が多かった為に、お店の来頻度(らいひんど)が高めだった。




「ミョウガが入ってるの珍しいね」





マキさん(奥さん)に教えて貰った。

ミョウガの漬物を早速作って、お弁当に居れてみた



「常連の店に、私でも食べられるミョウガの漬物の作り方を教えてもらったんだ」



「へーぇ。1口頂戴よ」



「いいよ」


ミョウガの漬物を箸で1つ取って、ひっくり返ってる弁当の蓋に置く。



「わぁ。美味しい!作り方教えて!」



「常連の特権です」



「えー。あ、お返しにこれ。はい」



私の弁当の蓋に置かれたのは副菜の人参だった。


箸でつかみ、口に運ぶと丁寧にお出汁が効いた人参の煮物がとても美味しかった。



「美味しい!どうやって作ったの?」



「企業秘密です」



仕返しされて、お互いに笑う



「楽しそうですね。俺も仲間に入れてもらってもいいですか?」



お弁当仲間の金子 肇(かねこ はじめ)

私達の1つ後輩で、バリバリ体育会系。人懐っこい笑顔で男女共に人気だ。




「どうぞ」



隣を促した。




金子くんは入社する時に、実家を出て一人暮らしを始めた時と同時に、お弁当作りにも挑戦をした。

当時から、お弁当を一緒に食べてる桃菜ちゃんと私に、簡単に作れる弁当のレシピを聞かれてアドバイスをしてきた。

その縁か、時間が合えば一緒に食べてる。




「木佐さんのお弁当にミョウガが入ってるの珍しいですね」



「とても美味しかった!でも、作り方を教えてくれなかったの」



「私も企業秘密ですから」



私と桃菜ちゃんが再び笑う。



「1口くれませんか?僕からはこの手作りドライトマトをあげます」



「いいね。私はこの人参を」



「甘い」



ドライトマト初めて、食べたんだけど、甘くて美味しい



「人参もミョウガもどっちも美味しいです。どうやって作ったんですか?」




「「企業秘密」」




「残念です」



「手作りで凄いね。このドライトマトどうやって作ったの?」


私が金子くんに聞くと



「オーブンで焼きました。俺は2人にお弁当を教えてもらった恩がありますので、企業秘密がないですよ」




「オーブンか手間かかってるね」




「生よりかは甘くて美味しいので好きなんですよ。後は保存が聞きますし」



なるほどと納得した。



憂鬱な昼休みが2人との楽しい会話のお陰で、気分を切り替えられた。




今日は潤と会うことは考えないようにしようとし、現実逃避だと分かりながらも集中力を高めて仕事を開始した


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