出会い
雲間から差し込む陽光。
天使の羽が舞い、一人の男が降り立つ。
「余、爆誕。」
神、16歳。
黄金の髪と黄金の瞳。
純白のローブに身を包み、明らかに冒険者のソレではない。
「お待ちしておりました、神よ。」
うっそうと茂る森の中心に降り立ったはずが、目の前に一人の男が。
「お前・・・ウリ坊か?」
「おひさァ。」
「うおおお~何千年ぶりだ?一瞬わかんなかったなぁ!」
彼の名はウリエル。
浅黒い肌に白い髪。同じく身にまとうローブから見える肉体はガッシリとしているが
大柄というわけではなく、その筋肉量をあまり感じさせない。
「お前、まさか・・・。余を天界に・・・。」
「いや?神が“こっち”に来るって言うから挨拶でもと思ってなァ。」
「ほっ・・・よかった。」
「さっきミカ先輩から、童っ・・・神が逃げたから捕まえてくれとは言われたけど
なんだか面白そうなことするみてェだし、俺も一枚かもうと思ってな。」
「ねえ、今お前童貞っていいかけたよね?」
冷たい目線を向けた先のウリエルが頭をかく。
「異世界転生してきたんだろう?神ィ。」
「ねえ、なんでスルーすんの。」
「アレ、やらなくていいのかァ?」
「アレ?」
ニヤっとウリエルが笑い、懐から水晶玉を取り出す。
「お。お前、それはまさか!」
「そう!『あれ?俺なんかマズいことやっちゃいました?』だァーーーー!!」
「うおおおおぉぉぉおおおーーー!・・・でも余、ここに来る前に自分でステータス決めて
来たんだけど。」
「細かいこたァいいんだよ。」
ウリエルに手を引っ張られて水晶の上に手をのせる。
「なんだそれ?」
「ギルドカードだ。ここにステータスが印字される。」
「どういう仕組みなんだろなこれ。まぁいいや、フン!!!!!」
カードに印字されてゆく文言は・・・。
名前:
職業:神
種族:人間
レベル:99/99
HP:5
MP:1
筋力:F
魔力:F
俊敏:F
知力:F
幸運:F
「ナニコレ。」
「・・・。」
「職業神って何?超イタイヤツじゃん。」
「・・・。」
「黙ってないで何か言えやテメェー!レベルカンストしてんのにこんなステータス
で戦えるか!」
「いや、いたたまれなくて・・・ククク。」
「やっぱ笑ってんじゃねえか!!」
耳に手を当てる。
これは『神☆スマホ』天界全員に即連絡可能な優れもの(魔法)だ。
『オイ!受付!お前ステータスなんかイジったか!?』
『それで童貞がさぁー・・・。』
『オイ!受付!おーーーーい!!余!!ステータス全部MAXだったよねえ!?』
『ん?なんかうるさいな。後でかけなおします、と。』
『全部聞こえてんぞ!お前戻ったら絶対減給してやるからな!』
---ブツッ。ツー。ツー。ツー。
笑い転げているウリエルを見下ろす。
尋常ではなく笑ている。
もうイヒー、とかオホーとか。引き笑いとかいうレベルではない。
呼吸困難になるな、あのままじゃ。うん。助けてあげないとな。
「ウリエルくぅん。」
「クフフハハハ・・・ヒィーっ・・・ヒィーっ・・・え?なにィ?」
「ふん。」
「あぼえェ!」
ウリエルの体が青白く発光する。
何をしようとしているか察したウリエルの顔色もみるみる青くなるっているのであろう。
青白く発光しているのでよくわからないではないか。
「あれ・・・神、MP1じャア・・・。」
「これは魔法ではない・・・。」
「え・・・?」
「神特権だ!!」
天から雷が三本ウリエルを貫く。
この雷撃は神が自らの配下の天使を統率するための力であり
戦闘では役に立たないだろう。
「ギヤアアアアアアアア!!」
黒墨となったウリエルの手を取り、水晶にのせる。
名前:ウリエル
職業:天使
種族:天使
レベル:999
HP:9999
MP:9999
筋力:SSS
魔力:A+
俊敏:S
知力:B
幸運:SS
「チッ、忌々しい」
なんてステータスだ。
コイツ一人で魔王だとか、隕石だとかなんとかなるんじゃないか?
「神☆マッキーそして神☆消しゴム。」
亜空間ペンと消しゴムを取り出す。
このペンは神が自らの配下の天使を統率するための力であり
戦闘では・・・。(以下略)
「キュッキュのキュ・・・と。」
名前:ウリ坊
職業:遊び人
種族:人間
レベル:99
HP:1
MP:1
筋力:Z
魔力:Z
俊敏:Z
知力:Z
幸運:Z
「よし。」
「よしじゃねえええェェ!」
後ろから黒焦げのウリエルのドロップキックが神の腰を折る。
「ごうぇ!・・・ハハハ筋力が足りないんじゃないか?」
「何てことしてくれたんだ!神ィ!!」
「フハハハハ、神をバカにするからだ。」
「そんなことしてるから童貞なんだよォ!」
「童貞は関係ないだろ!!!」
「バーーーカ!!バカ筋肉!いや、筋肉バカ!!」
「バカっていう方がバカなんだよ!!あと筋肉バカは褒め言葉だろうがァ!」
小学一年生みたいな喧嘩を小一時間し、お互いに体力がつき座り込む。
空はカァカァとカラスがなき虚しい沈黙が訪れた。
「・・・そういえば余、名前がない。」
「いいじゃねえのォ、神で。」
「お前めんどくさくなってるだろ。」
「そりゃそうだ。せっかく天使まで来たってのによォ。また人間にしやがって」
「そっか、お前生え抜き系天使だったな。」
「その社会人みたいな例えなんとかなんねェの?」
空を見上げる。
「---随分と、遠くまで来たものだ。」
「童貞卒業旅行にしてはなァ。」
「ちょっと真面目な感傷に浸らせてくれる!?」
「へいへェい。」
森の中からは夕焼けは見えず、空が赤みを帯びてゆくのを感じる。
「決めた。余の名は『メルエ・・・』」
「それだけはやめとけ。」
「冗談だ。余の名は『シン』」
「ふゥん。」
「次からシンと呼ぶように。」
「へいへい、どうせ天使は神に逆らえませんよッと。」
「名前も決まったところで・・・」
『シン』は本題を切り出す。
読者諸君も『シン』と呼ぶように。
「この世界にはどんな転生者が来ているんだ?」
「えっと、一人は来たてほやほやだな。こいつァ・・・『ミクリ』。
生前は高校生だな。トラックに引かれて底辺貴族に転生。現在は生前の知恵を生かして
商才を発揮・・・と」
「面白くない、次」
「次は・・・『シグナム』」
「そいつだ!!」
「はいィ?」
「そいつが・・・余に・・・あんな・・・見せつけ・・・」
「ちょっ、神?様子が」
「この世界に・・・いやがったか・・・シグナムゥ・・・」
シンの額に血管が浮かび上がる。
「カチコミじゃぁぁああああああああああ!!!」