日常~午後の予定は~
「ごちそうさまでした」
お昼御飯を食べ終えた僕は手を合わせて、感想と感謝を込めつつ挨拶を母親と共にした。当然の如く片付けも行いて、自分の部屋に戻りする。
「Hi,Terula.本日の予定は?」
「Yes.このようになっています」
住環境制御装置の音声機器に話し掛けると応答が得られて、光学立体画面が机上に出現のち予定計画ソフトのページが表示された。午前の宿題による疲れで無いと思っていて、午後の欄に一件と入りしに二度も見るほど驚いてしまう。十三時頃に剛が根宮家へ訪れて、地下の施設を共に使用する約束を忘れていた。対人戦の経験値を積む目的が在って、自分の権限と祖父の承認で特別に立ち入りを許してある。
「Hi,Terula.終了して」
「Yes.シャットダウンを行います」
即座に机上の画面が消失する様を見るや準備せねばと動き始める。木刀は樫造りを手に持って、服装はそのままにする。薄手の半袖とズボンは地森で過ごすのと同じくして、汚れや破れの難さが気に入っている。
——ピンポォン……。
一階で呼び鈴と思われるチャイムが鳴ったようで、時間かと時計を見ればまだ早かった。十五分も前に来訪なんて有り得ないって、否定したい気持ちがあった。母親に用事かなと静けさに考えて、仮眠を取ろうとベッドに向かおうとした。
「旒、お友達ですよ」
「分かりました、今すぐに」
内線通信機から母親の声がしたことによって、足を止め振り返るや応えたんだ。何故そんなに急いだのかって、文句の一つじゃ終わらさそうだ。不満気な顔にも仮面を付けるように自制しながら階段を下りていきて、玄関へと木刀を持ちつつ歩いてゆく。人影は三つ認めて、首を傾げる。
「ようこそ、いらっしゃいました。お待たせして、申し訳ございません。根宮家当主を務めております。そちらに御しますのは、西尾家の巌様でしょうか。ご高名は多方面より聞き及んでおります」
「初めまして。ただただ驚いておる。息子からの話では想像もできぬほど、立派な態度で迎えられた上に、見る目もあるようですな。如何にも、十二柱がひとり雷打の称号を有しておる。今後とも、宜しく頼む」
「こちらこそ、です。武術を極めし方に教われるならば、一層と高みへ己が身を磨けることでしょう。案内致します。他言は無用と申し上げさせて頂きます」
「承知した。万一の場合には責任を取ると誓おう。息子よ、念を押されたのだが、どうなんだ。出来ぬと示すなら今直ぐにでも、連れて帰ることになる」
「え……それほどに……?」
「はい。今ならまだ、間に合いますよ?」
「口が裂けても言いません!父に倣って誓います!」
「確と受け取りました。信じています。行きましょうか」
秘密の扉を開錠して、地下の施設へと続く階段を下りてゆく。暗闇の中をゆっくりと足音を響かせないで、恐怖に不慣れか剛が声を発した。
「明かりは無いのか?」
「…………」
「何か話してくれよぉ〜」
「…………」
今は友達じゃなく当主の立場になっているので、山々だけど沈黙を貫くしかないんだ。弱点を見付けてしまったことで、笑みそうも堪えつつ冷ややか保つんだ。




