日常~宿題が終わる~
「おわったぁ〜……」
文書処理ソフトを閉じる前に保存を確りとして、基本表示画面の時計を見れば十一と成りしていた。
——結構、掛かったなぁ……。
教育の意味を調べたり自分の経験や見聞きを思い出すことから始めていて、一度と考えるがままに書いてみたけれど纏まらなかった。直し続けた末に心を決めて、初めから遣ろうと勢いよく消したんだ。様々な言葉が脳内に残っていて、何処に用いるのかを定めつつ組み替えていった。無駄なぞ在らず筆が進められて、拘りを断ち切れたのは大きいんだ。でなければ終われたろうかって、溜め息を吐かずには居られない。
——疲れたねぇ……。
誰にともなく呟きしてみて、頭や背を幹に寄り掛からせた。体の力を抜き空を仰げば光が眩しくて、陽が頂きへ達しようとする。木漏れ日は一層と輝きて、植物たちが天の恵みに喜ぶを感じられた。和やかになる。
——帰ろう。
昼御飯には早いけれど、端末を鞄に片付け立ち上がる。聖域を猿戸から出てはと、錠を下ろした。何時もの道を行くべく足を転じると、視界におばぁちゃんの姿を認めてハテナする。時間的に人が来るはずないこと、距離が縮まりして以前に会った顔を見たんだ。記憶が蘇り同じと、納得する。今日も懐かしみにと、台地の麓から大変な坂を上って訪れたようだ。元気さは変わりなくと、高齢にしては考えがあるんだ。
「こんにちは」
「あやまあ、しっかりしとんね」
「いえいえ」
「おかあさんに、ありがとせんとな」
「そうですね……」
「帰るとこやったかい?」
「付き合いますよ」
「気持ちだけな、貰っとおね」
「分かりました」」
「ああ、これな、お礼」
「……え?」
「遠慮なぞせんでええよ」
米国が投下した爆弾から守ろうと、身を挺してくれたからだと、言いつつ手の平に押し付けてきた。何を渡されたのかと、目を向ければストラップだった。長方形のビーズ作りで天樹の絵にする苦労を思うと、受け取るしかなかった。明るく努めて有り難うと、胸にそれを当てたんだ。
「大切にします!」
「うん、またな、よろしくな」
「失礼致します!」
「はいなら」
部屋の壁に掛けとかないとって、嬉しさに走りながら握り締めた。今更だけど名前を聞いてなかったなって、後悔を抱き母親に何と説明すべきか悩んでしまう。日常で会わぬほど覚えるなぞしなくて、自分の悪い所を怒られるだろう。
「ただいまー!!」
玄関から台所へと急ぎ歩いて、貰ったストラップだ。を見せつつ話をしてみる。誰にと聞かれて、腰が曲がりも杖を持たぬ姿を伝えてゆくんだ。




