日常~体罰を考える~
——やるか……。
天樹の太き幹に背中を向けて、大蛇の如くうねる根の上に腰を下ろした。宿題に取り掛かるべく、端末の画面に表示されしアイコンをタップする。学業支援ソフトの未完リストを一覧してみて、社会を選び開くや内容を目にした。数学教師の事件は記憶に新しく、苦痛を与えられたことを忘れはしない。思い出せば昨日のように、嫌な気を抱き怒り覚えた。
——テーマは、束縛。うわぁ、難しそう。
僕は教室で立たされて、脚の疲れを感じていた。時の流れは針の音さえ、耳に届かなくなる。籠に捕らわれた小鳥よ、飛ぶこともできなくて。空をゆうゆうと浮かぶ、雲を見て居るだけ。人は余り多く言葉似、縛られて抜け出さずに。考え止めて従うだけの、物に成りたいのか。口で違うと叫ぶのなら、体で意思を示すべきと。頭は分かってるけれど、心は弱いから——。
——教育と体罰について。エッセイを。
僕が今こそ身に付けているマナーは、誰のおかげだろうか。大人が決め強いてくるルールは、絶対なんだろうか。自分が生活する上で必要な知識の多くは、家族や先生から得たと思っている。成長と共に実践を積み重ね、当たり前となっていた。座る、立つ、歩く。話す、聞く、答える。持つ、運ぶ、食べる。使う、片す、捨てる。学ぶ、調べる、考える。選ぶ、渡す、買う。関わる、助ける、解する。社会人として相応しく在れるように、教育が行われているんだ。
良き行いをすれば飴を貰えることで、褒めにより続けたくなる。悪き行いをすれば鞭を受けることで、泣く怖さによりもうしないんだ。優しく言われて、直そうとする子には受け入れが見られる。言われたことに従いつつ過ごすので、雷が激しく落ちることもなさそう。反対に主張だけして、何度も逆らおうなら親も変わり果てる。巣立ちの時は確実に迫りしていて、中学に入った頃には心を鬼にするんだ。衝突が増えた原因の一つで、口論の末に手足を出されて、毎日の我慢やストレスが限界を突破してしまう。行き場の無き怒りを抱えて、飛び出した者が居るほどなんだ。遣り返すよりはマシで、頭を冷やすために離れるのは逃げと違うメリットがある。再び向き合うべく時を置くことで、互いに分かりたいが生まれる。残念ながら親とは頑固さが強くて、拒絶され無視され押し通さんとする。関係の溝を埋めようとにも困難を極めた。
子供も意思を持つ人間と分かっていて、戦争の時をみたいに苦痛を与えて居るのか。力を振るい体に傷を付けて、血を流させる。声を鋭くと心に刺し刻みて、縛り恐れさせる。法律はそれを禁じていて、刑罰ものと知らぬはずがなく。立場を盾に正当な扱いだと権利を叫ぶことにて、例外を認めさせてしまった。教育に必要なら。最低の限度まで、已む無く許す。裁判所の判断が味方するや歯止めが利かなくなって、体罰により死亡や自殺が増えていった。前兆に気付けぬ理由は巧妙に隠されていて、精神の幼さが支配に負けているからだ。被害を確かめねば動けないので、対応が遅くなってしまう。犬を扱うみたいに首に輪を掛けてまで、動きを硬く制する。食事は残り物を与えて、栄養が失調を構わずに生かしている。救助時には弱まっていて、瞳の奥に在るはずの光は消えてしまっていたそうだ。精神が麻痺して、幸福な感情を奪われて、息を引き取りゆく。人生の短さに胸が締められるようで、涙が止まらず込み上げる思いがあるんだ。
如何なる目的があれども抑えるべきで、真剣に伝えれば届くと断じている。三流以下の失格者は恐怖を与えるしか従わせられえなくて、一流のような成果を表すには工夫が求められる。軍隊の如き指導はせぬと己にも誓いして、個性を理解する姿勢を示して欲しいんだ。日頃のコミュニケーションに信頼があるからこそ響いていて、変化を齎す強さがあるんだって、結ぶ。




