表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
82/103

日常~影繰を行使も~

 ——な……!?

 頭部の右側を基礎の床にめり込ませられつつ、影針えいしん太股ふとももを貫通する痛みより信じられなさが勝る。影菱えいりょうけずに傷付くを構わず攻めることで、すきを与えてくれなかったんだ。

「憎悪の心意では、祈念や覚悟を持つ者に負けるぞ」

 教えただろうと、声を聞いて悔しきながらも小さくうなずく。頭を抑え付けていたじいちゃんの手が離されると、体をおもむろに起こす。仕切り直しをお願いして一度だけと、承諾を受けて位置に着いた。

「準備はできたか」

「はいっ!」

 失望させるなよと、重圧を掛けてくる。全力で来なさいと、鋭い目つきになられる。実戦の経験が無いことで不安があれど引き締めて、臨戦の体勢を取った。

「右手に持つは切るつるぎ

 影繰かげくりの現わすかたを詠唱しつつイメージして、実体のある黒き剣を創り出した。体術や武術は鍛練の成果を見せ、取り戻すんだって思う。

「行かせてもらいます!!」

 深呼吸をして緊張をほぐすや駆け出した。影剣えいけんを水平に構え間合いを測り、抜刀するような動きで切る。基本剣技《ホリゾンタル》。

「うおおおおおお!!」

 遅いと、厳しさのある声でじいちゃんは言うと、軽く飛び退かれた。勢い付いた手は止まることなく力の限り振り切れば、思いがけず風の刃が放たれた。三日月が音速で空気の壁を裂き、正面のじいちゃんを目掛けてゆく。

「これは……!」

 自分が驚きを代弁するがごとく声を出されて、即座に手刀しゅとうで左下から右上へと真っ二つに切った。基本剣技《スラント》と同じ動きだ。

 ——チャンスだ!!

 偶発的に起こりし出来事を利用して、攻めるなら今だと意を決する。

「流れる涙はために、流れるあかねだれぞ出て、悔みて悔み悔し紛れ、染めて黒き崩れ逝く」

 影繰は四段の詠唱で、悪夢の爪を両手にまとう。獣のように地を強く蹴って前へ跳び、大きく振り上げて切り裂かんとした。手刀を下ろした状態から守りへ移させまいと全力で迫ったことが、一撃を入れられる自信になった。

ばく!!」

 力強く言い放たれた言葉が見えなざる手となり、地面へ抑え付けられる。情け無くもぶぎゃっと声を発してしまうほど、上方から半端じゃない圧が掛かった。力が尽きたのか立ち上がれないんだ。匍匐ほふくの体勢で見上げ、今後はどうなるかと不安を抱きつつ判断を待つ。皇帝の命令は絶対だ。

「痛っ……」

 根性でこらえつつ体を転じて仰向けになり、床に付いたひじを支えに体を起こして座る。手加減されも不思議と嫌気が差さず、感謝を覚えた。

「今後も学業に励みなさい」

 鍛練は体術と武術の継続を認めるが、危険な道術の行使を禁止すると、判断が下された。非常事態に限って護るためならば特別に許可すると、声を得られた。

「承知しました」

 皇帝に対してひざまずくや返答を叫び、恭順の意を姿勢でも表する。違約した場合は封印も辞さないと、念を押される。肝に銘じて立ち上がった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ