日常~影繰で守らん~
——希望を持てぬ者は生き延びられん。
根宮家前代当主のじいちゃんの声が不意に聞こえ、瞑りかけていた目を開ける。裏土に連れて来られる度と言われたこと、光を取り戻すだけではなく、立ち向かい戦うための力を与えてくれる。今ならできそうだ。
「……右手に持つは切る剣」
道術詠唱の一つで影繰を行使しようと、人生で初めて言葉に霊力を込める。同時に右手は想像の柄を握り、両刃の長身を目に映して水平に構える。実体が無きそれは急速にと粒子を集め、重さを伴って現れる。
——出来た……。
感動で集中が乱れるや影剣の形が振れるも、即座に集中し直すことで消滅を免れた。初歩の初歩と記憶している術の名は、現わす形だ。
「栞、後ろに居て」
絶対に守るんだと声にせず叫んでは、両手で柄を握って縦に構え直す。巨大な黒い影は濁りは手の無き太い腕を上げ、僕に丸みを向けて突いて来る。風を起こし唸らせ、押し潰さんと迫る。大上段に振りかぶった。
——基本剣技《ホリゾンタル》。
間合いを測って影剣を垂直に下ろし、濁りの腕を半ばまで真っ二つに切り裂いた。手応えが無く前のめるも持ち堪え、飛び退いて再び仰いだ。
「ケケケケケ……」
痛みを感じていないようで笑みを止めず、逆の腕を高く伸ばしては撓らせ、叩き殺さんと勢い付けつつ迫る。影剣を腰にと抜く構えで迎えた。
——基本剣技《スラント》。
全力で左下から右上へと斜めに斬り、太さを物ともせず切り落とした。地面に転がるや霧散して、陽炎の妖気を漂わせた。
「ウウウ……」
余裕が無くなったのか笑いは消えて、両腕を怒りのまま連打してくる。一撃一撃が重く体力も削られて、影剣がとうとう消え失せる。
「あ……」
思わず声を漏らし現そうとするも、唱える暇は無く防げぬと思ってしまった。影剣で受け止めていた体勢のまま硬直は解けず、動け動けと抗った。
「イヤァァァアァ!!」
絶体絶命の状況に堪えかねた栞さんの叫びを聞き振り返れば、頭を抱えて小さく蹲っている。僕は怖さを忘れて体を動かし、守ろうと抱き締めては力を込める。最後の最後まで諦めないで、希望を捨てずに祈りするんだ。
——ズドォッ!!
瞑目していたら轟音がして鼓膜を傷ま




