日常~彼女の誘いに~
——ん、誰からだろう?
昼食を終えて自室に戻ると、机上のモバイル端末が点滅していた。先程、栞さんに返事をしたからその返事なのだろうと、期待は少なからずあった。
——午後、空いてる?一緒に勉強しない?
送信者は予想通りでメールを見てみると、内容はお誘いだ。昼前の空襲についての話もしたいと意がありそうな、気が少なからず読み取れた。
——うーん……。
午前に根宮の務めは終わったし、宿題も一つは片付けたからなぁと考える。記憶している限りでは、問題なさそうだと思う。確認すべく、住環境制御装置の音声機器に話し掛ける。
「Hi,Terula.本日の予定は?」
「Yes.このようになっています」
光学立体画面が机の上に現れて、起動済みの予定計画ソフトのページが表示された。重要性や緊急性のある用事はない。自由に好きに過ごしたいと悩みつつも、明日にやれば良いとして快く返した。
——早っ!
栞さんは待っていたようですぐにメールが、開いて読んでみれば今から来るようにとあった。坂の下にすでに居るのかと信じられなさに思わず叫んでしまい、慌てて鞄を肩に掛けつつ駆け下りた。母親の姿を探して急ぎ伝えて、玄関を飛び出し、自転車に跨がり、開門を待つのがもどかしく思える。
「行ってらっしゃい」
「うん!」
母親に見送られて右門を飛び出る。古跡台地の第四層から央都の北にある仰臥門へと坂を下り、加速するに任せてハンドルを握り、一度ターンして直線に目指した。
「遅いわよ!」
僕は甲高いブレーキ音を響かせては停止すると、車だったら免停もんだよと反発した。視線を顔から頭へと上げると、今日も前髪を木製ピンで留めている。服装を見れば清楚な印象の白を基調に着て、薄手のガーディガンを羽織っている。大人みたいにズボンはジーンズで、脚は長く思えている。
「久し振りだね……」
「昨日、会ったばかりでしょ」
「一緒に外出するのが、だよ」
「あー、そうか、それなのに」
私服はシンプルでセンスが無いわねと、上下は深緑色とジャンパーは青色のコーデに対して言われたんだ。悩まなくて良いし好んでいるから、構うもんか。
「図書館に行こう」
「ええ、そのつもりよ」
十分位と立ち話して居たので切り出せば、言われなくてもと感じで、跨がるのを見ては、ペダルに足を乗せ漕ぎ、後に付いて向かう。央都の内側を走り、惜陰門から西区へと出た。本島の果てまで伸びた国道を真っ直ぐ行き、栞さんの背を見つつ涼しい風を受け続けた。
——到着っ!
国立図書館の敷地内に入るやそう思い、駐輪場前で降りるや屋根の下に留めてロックする。目前の柵と道路の向こうには、西区の学校が建っている。
——マナーモードにしなきゃ。
静かにすることを強いられる場だからこそ、暗黙のルールに従って設定する。




