日常~事故の危うさ~
――少しでも早く。
僕は心の中でそう思うや体に鞭で打ち、腰を上げ足に重みを掛けて風のように走らせる。腹筋も使い踏み沈め、加速に加速して建物が流れる。
――気持ちいいっ!
全力で漕ぎてはペダルを固定して勢いのまま、歩行者の居ない自転車レーンを突き進む。立ち並びし店や家を瞬く間に後ろへ、風が唸りする。
――着けるかな。日没までに。
何度目かの切れた所を渡ろうとした時に、右側から車が飛び出して来た。建物によって死角ができて、存在を隠していたため気付けなかった。
「うあぁっ!?」
声は出たけど体は動かなく、回避行動が取れない。車のブレーキ音が耳を貫き、強張った表情で接近を見てた。自転車を止めたとしても間に合わず、恐ろしい鉄の顔と内に座りし人の顔を目にする。
――――。
頭は真っ白で、周りはスローモーションで、即死を覚悟した。一秒が一分にも感じられる中で、瞼を下げないで、別れを思う。
――さようなら……。
自転車が傾き、地面に勢いよく投げ飛ばされ、肩から着いて擦り傷を作る。同時にけたたましい金属音がして、後輪の回りするを横たわりつつ見た。
――あれ?
事故に遭ったはずなのに何故か、折れ曲がっていなかった。衝突したと思うけれど、上体を起こしてみても痛いのは肩だけだった。
「バカヤロー!!」
不思議に感じて居たら突然クラクションが鳴らされ、視線を上げると男性が怒っている。運転席の窓から拳を空へと突き、早口で喚く。
――……?
何て言っているのかは聞き取れなく、ラジオのようだった。何のことかは考えるまでもなく、今に起きたことだと分かった。返事に困り、終わるを待つ。
「気ぃ付けろ!!」
男性は最後にそう言い捨ては、国道は港の方面へと走り去った。状況から察するに接触もしておらず、加速させてあったので大事に至らずに済んだ。
――恥ずかしい。
自分で勝手に転倒するなんてと、通り過ぎる人の目から逃げようと、自転車を起こし跨がった。体が少し震えていることに気付き、事故りかけた後なので安全に走らせる。空を見れば青かったのが淡く、黄色みを帯びてゆく。
「おっと……」
環状交差点に達しようとした時に、目前で車が停止するのを見て速度を落とす。専用レーンの切れた所を渡りたくても、列に阻まれて已む無く止まり足を地に着ける。倒れないように支えながら望む。
「多くなってきたな……」
国道を走る車の量を見て呟き、本格的な帰宅ラッシュの時間帯になりつつあることを感じた。渋滞とまでは行かなくても、進みが遅い。二車線道路の上りや下りでは連なっている上に、所々で離脱や合流の動きがある。
――自動運転も意味を成さないか……。
人工知能はAIと呼ばれるモノ(アーティフィシャル・インテリヂェンス)を搭載した車の普及率が十割に近けれど、国道に集結したらこうなると、街道は混雑を知らないから遠回りでも利用すべきと、距離か時間かだよなって思う。




