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日常~処分を任せる~

「私は……何も……してない……」

「残念です。学ぶことが多くあったのに」

「私は……」

「宣言する」

 僕は軽く右手を立てて、女性教師に手の平を向けながら。教育法と校内法で認められている力を行使しようとした。

「生徒会第二席の権限を以て……」

 生徒会は学内評価と実績が上位の五名によって構成され、席次が上がるごとに力は増大していくんだ。多くの事柄が合議によって決定され、指導員ですら従わざるを得ない。組織図的には学校長の直下にある。

「処分が決まるまでの間……」

根宮ねみやさん、待ちなさい」

 女性教師に言い渡す途中で、優しくも重みのある声に止められた。何ですかと、不満を隠さずに振り向いて、驚いた。白髪のある男性の顔は、仏の怒りか。

「学校長……!?」

 南区立中学校のトップが御出座おでましになられるとは、予想もしなかった。教室の中の緊張感が、一気に上がった。女性養護員は男子を連れ出してく。

「遅くなってごめんね!」

 職員室に行ってくれた仲間たちが、学校長の後ろから顔を出して言うんだ。初めは教師に話し、映像を確認し、報告を上げていった結果が、今らしい。

「ありがとう!」

「大変だったんだよー」

 女性教師がへなへなと座る様子を尻目に、明るく振る舞ってお礼を言った。話したのはこれが初めてだろうか。名前を覚えていない。

「うーん……」

「どうかしましたか?」

「あっ、いえ……」

「彼女の処分について、預からせてもらいたい」

「議題にするなと言うのであれば、拒否します」

「構わんよ。生徒会からも意見を出してほしい」

「え……?」

 今回の件は極めて重大で、学校内部の問題に留まらないと、学校長は話し出した。職員会や保護者会でも話し合いがされるから、生徒会でもと言うんだ。

「五名の総意は、私と同等以上の力を持つのだろう?」

「はい。そうですね……」

「正式なものは追ってしますので。問題ありますか?」

「断る理由が見付かりません」

 対峙たいじするのも疲れたから、意のままにと言っては身を引いた。学校長はどうするつもりかと、固唾かたずを飲んで見守った。

「私は……。どうか……!」

 女性教師は寒そうに体を震わせながら、慈悲をとすがり付いて、自分の罪を棚に上げていた。僕はそれを見て緩やかに首を振り、教室の中を見回した。担任はいつ来たか、ドアの前で立って邪魔しない。

「自宅謹慎を言い渡す。処分が決まるまで、待機するように」

 情けもない言葉に対して、女性教師はかすれた声で返事するだけだった。うつむいて、謝りもせず、責任の大きさを感じているみたいだった。

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