定律~味方か知れぬ~
「どうですか」
海岸から少し歩いた所にある、日溜まりの空間に着いた。家を一つは建てられる広さで、材料に使う木を切れば株が机の代わり。
「ヨイネ、キケン、ナイノカ」
「大丈夫です。何かあれば助けますよ」
妖異の存在は伏せておくことにしたのは、徒に不安を与える時ではないから。話した所で信じてもらえないと、僕がそうだったから。
――良かったのかな。
――機嫌取りだろう。今は。
マシューさんは仲間と共に動いて、荷物を置いたり指示したりと大変そうだ。警戒の度が過ぎる黒服の人も居るが、手に銃は持っていない。
――風起たちは見張っていて。
――誓約を無視するかもしれないと?
――全員がした訳ではないからね。
――確かに。可能性はあるな。
来訪者の様子を見て居ると、三つの塊に分かれた。右に向かうのと、左に向かうのと、僕の所へ来るのと、四人が一組になって歩くんだ。
「ハナシ、スル、オーケー?」
「何を始めたのですか?」
「チョウサ、シリタイ、シマノコト」
「答えられることなら、良いですよ」
「ボク、ヒトリ、ジャナイネ」
「何でそう思ったのですか?」
子供が一人で生きられるとは思わないし、山の頂きへ踏み込むことを許さないのは、隠していることがあるからだろうと、考えに至ったようだ。
「嘘付けないね。そうだよ」
「アエナイカナ?」
「仕方ない、司よここへ」
名前ではなく総称で呼ぶや強い風が吹いて、僕の後ろに現れ立つ姿を見たマシューさんは声を失った。黒服が銃を構えた瞬間に、神なる気が放たれる。
「戦いたいのですか?」
「ノー……」
僕以外の人が蒼白になり、無様に震えて居るのを見て笑いかけた。風起にそこまでにしなよと言って収め、目線を合わすために地べたに座る。
「大丈夫ですか?」
「オー……マイガッ……」
敵わないと分かってくれたのかなと思いつつ、神妙にして堪え続けたんだ。落ち着くのを待って居ると然り気無く、水流は水の入った筒を渡していくんだ。毒味してみせて安心させる。
「サンキュー」
太陽が真上を越す頃まで、マシューさんを通訳にして会話をした。目的や世界のこと。日没前には帰ること。独占権や移住のこと。自分については答えない。
「日本人に会えませんか?」
言語が同じ国に少なからず興味があり、今居るこの島も国になる時が来るだろうから。勉強させてほしいと思っていた。検討してみますと返事があるも。
時間を忘れるほどに夢を語り合い、夕方に調査の二組が戻ったんだ。数日中に再訪すると伝えられ、海岸で船を見送った。手を後ろにしては、待ってるよと。




