定律~移住を許すか~
「ココ、ユナイテッド……」
大切なはずの地図を道の上に広げては、片言で指差しながら教えてくれた。今居る島は太平洋の日付変更線の上に在り、東方に大陸が彼らの国が在る。様々な文字があちこちに書かれているけど読めなくて、分かることは国が一つではないこと。世界について知りたいがいっぱいだ。
「アナタ、キク、オシエル」
白服の代表は反応が嬉しかったのか、偽りのない声を掛けてきた。対価に調査と開拓をさせてほしいと、許しを求めてきた。移住するということらしい。
――どうしようか。
発展することについては良かれと思うけど、神霊たちが守ってきた木立まで壊すことは認められないんだ。一度でも相談してからでなければと、待ってもらえるか惑ってしまう。口約束では破られてしまう。
――私も同じ思いだ。
山の頂きは聖なる所として手を付けないこと。心からの誓いを口にしてもらえれば、言の葉の力に縛られて守しかなくなる。風起は伝えてきた。
――分かった。
僕も心の声を風に乗せてそう返し、代表に意識を向け直した。条件があると切り出し、理解されるように大切さを、強調と確固たる意志で以て話す。
「ワカリマシタ、チカイマス」
「ありがとうございます」
言葉による制約が成されるや、ガシッと手を握り合う。それを見た人たちは喜びに沸き、声は森を駆け抜けた。最初に定められた法は絶対的なものと明文化して、人々に周知を図ってく。厳罰で望む。
「マシュー、です」
「界希と言います」
代表は握手を終えると仲間の所へ戻り、敵意はないことを伝えてくれた。来訪者は話し合いが終わるや歩み寄って来て、友好の意を示してくれた。納得していない人も居て、信用した訳じゃないんだと思うに留めた。
「イエ、ツクル、ヨイ、ドコカ」
訊かれて僕はどこならと、山の頂きから来た道を思い出す。少し開けた所を通ったなと、溯り見てはそこに決め、連れて行こうとした。
――熱っ!?
突然に鼓膜を貫く音がして、同時に左腕の肩に近い部分から痛みが走る。目前で黒服の一人が持つ銃口から煙が立ち昇るのを見た。信じられぬ思いと共に手を当てると、温かいものが付く。離して確かめればやはり、赤い血だった。
――大丈夫か、とっちめる!
――待って‼
怒り心頭の風起を強く制止して、抉られただけだよと伝える。加害者の元へ憶せず歩き、冷静を保って銃身を掴み、力任せに奪う。
「グウッ……」
「次はない」
手首をひねったくらいで良かったねと言い捨てて、先頭位置へと戻る。後方で何か喚き声などがしていたが、振り返ることをしなかった。
「コレ、ツカッテ」
代表だった人はどこから出した長い布で、傷口を手当てしてくれる。申し訳なかったと謝られた。貴方は悪くないよと、優しむ顔で返す。血を止めてもらい礼を伝え、改めて開けた所へと連れ立った。力を使わなくて良かった。




