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定律~島外の来たる~

「漁船のようだな、しかし」

 かいも無ければいでいる人の姿も見ぬと、疑問をていするを聞いて教えてあげる。機械で動かしているんだと、物知りさん気分だった。

「何か、銃のような物を持ってない?」

 黒服は何に警戒しているのか、放そうとしない。白服は羽織ったそれを泳がせながら、指示しまくりする様子を見た。着岸するや梯子はしごが下ろされ、次々と上陸する。前者は三人と、後者は五人と、甲板に数人か。

「戦闘になったらさ、クロだよね」

「だな」

「殺しちゃダメだよ、捕らえて」

「なるほど、やってみよう」

 会話をしている間も海岸から目を離さず、来訪者が積み荷を下ろす様子を見ていた。白服が大声で発する声は耳に届くも、言語は何か知らないことで感情しか伝わらないんだ。目的を尋ねても通じるのかと、不安がつのるばかり。

「気を付けろよ」

「うん」

 返事を聞いた風起かざおは姿を消して、気配さえもち居なくなる。僕は森の道に並ぶ木の一つへと隠れ向かい、脚力を高めるや大枝へと飛び上がった。静かに足を着けてはしゃがみ、左手を幹に当てて時を待つんだ。

 ――踏み入れた。

 来訪者が固まって歩き、森の中へと入るのを見た。驚かさないように少し抑えては、道へと飛び下りた。爪先つまさきから軽やかに着地して、行く手を阻むように立った。無垢むくであどけない子供を演じる。笑顔を魅せる。

「ワット!?」

 集団のうちの誰かが叫ぶのと同じくして、銃口をジャキッと音と共に向けられた。何言っているのか知れないけど、木の上を指しては騒いでいた。

「……貴方あなたたちは、何者ですか?」

 緊張感が強い中で少し和らげようと、僕は手を後ろににぎり明るい声でいた。仲良くしたいと気持ちから、恐れず歩み寄る。

「ステイ‼」

 黒服の一人が引き金に指を掛けたまま、困惑している顔で言い放ってきた。止まれということなのか。首を傾げては足を止め、次の動きを待つ。白服は向こうで話し合っていた。長らくそうしてやっと、進み出る者を見る。怖がっていた。

「ユー、ジャポネ?」

 距離を置いて立つ白服の代表は、何かを聞いてきた。内容不明で答えられない。

「アナタ、ココ、スム?」

 言語を変えたのか今の話は、単語でも理解できてうなずきを返した。代表の顔をうかがいながらも、続く問いに答えた。家族がいないは置き去りにされたと思ったのか。手を差し出して送るよと、優しくなるんだ。気分が悪い。

「オー、リアリー?」

 生まれも育ちもここだと伝わったようで、本当にと言っているようだ。少し考えては嫌な笑みを浮かべて、金あるよと欲しいだろと迫ってきた。元居た世界では必要だったが、島での生活には不要だから断った。一気に緊張が走る。

「ソウカ、ザンネンダ。ワタシ、アメリカ、キタ」

 思わずがくっとこけそうになった。開戦にと備えるも予想の斜め上を行かれ、調子が狂う。気を取り直してどこにあるのか、尋ねてみたんだ。確認を三度もされ、知らないと首を振り返す。代表は離れて居る人に叫び、走らせたんだ。

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