表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/103

足跡~便所が無くて~

「ごちそうさまでした!」

 僕はうつわの中の汁や豆を平らげて、食後の挨拶をした。二度ほどおかわりをさせてもらい、満足とばかりに笑顔を咲かせた。

「良い食べっぷりだったな」

 風起かざおの声を聞いて、顔を右に向けた。き火の前で丸太に座りながら、急ぐことはなかったのにと言ってきた。

「久し振りで、嬉しくて……」

「怖いくらい、がっついていたわよ」

「腹が減っていたことが伝わるくらいにな」

「えへへ……」

「口に合ったようで良かったのぅ」

 片付けるから食器を頂戴ちょうだいと言われて、お願いしますと共に木揺こゆらに渡した。孫を見るような目になり、うなずいてはどこかへ。

 ――ん?

 洗い物をする所ってあるのかと、首を傾げた。飲み水がなかったのだから、川や池があるとは思えない。水流みずるはここに居るしと、気になった。

 ――おしっこしたい……。

 尿意をもよおして、便所へ行きたくなってしまった。木立こだちに来てから一度もしていなかったから、水の玉を飲んだから、痛くなってきた。見回してみたけどあるはずがなくて、草むらや聖なる樹の根しか近くになかった。

「何をモジモジしているのよ」

「もれそう……」

「そこらですればいいじゃない」

「ええ……」

「あちこちにやられては、たまらん」

「はやくして!」

「分かった、こっちだ」

「うわ!?」

 我慢しながら歩き出そうとしたら腰に腕を回され、荷物を抱えるように僕を運ぶんだ。風起の足が地に着くたび、もらしそうになる。

「ここでしろ」

 命令口調と共に下ろされた所は、原を囲む白木の裏だった。細い幹と子供のひざを隠すほど伸びた草によって、見られることはない。屋外で用を足すことに抵抗はあるが、迷っている暇はなかった。近くに誰も居なくなったら、見ていないことを確かめて、根元に放水した。長いこと出し続けた。

 ――ふう……。

 何とか間に合った。安心だ。冷気によって少してた手をズボンのポケットに突っ込み、温めながら風起たちが待つ原の中へと歩いて向かった。

「戻ってきたか」

「うん。おまたせ」

「今度からは自分で探してな」

「えーと……」

 小だったら良いけれど、大だったらどうしよう。お尻を何でけばと、後で困らないように聞いておく。僕が元居た世界では、薄い紙を使っていたが。

「葉っぱでやれば良いだろう」

 不潔な状態のままで過ごしたくないと、不便な環境の中で代わりになる物があるか、木揺に相談することで決着した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ