日常~過去を聞かす~
——何処から話そうか……。
小庭に降り続ける雨の音を聞きつつと、過去へ立ち返れば心が疼いた。頻繁に映し出されたこと、記憶に瞑る辛さがある。日陰の部屋で母親に殴られてと、僕は涙を謝っていた。幸福な頃へ後ろ跳ぶようにと、人生の絵を前に重ねゆく。頭痛が強まるも顔を顰めてと、呼吸が乱れるも体を崩すまいとした。時間はどれだけ経ったろうか。思うより経っていないのか。
「だいじょうぶ?」
小学生の男の子に心配の声を掛けられて、徐に目を開けたんだ。苦痛を隠すや微笑み浮かべて、何故と傾げてみる。
「あたまがいたそうだったから……」
「そっか、有り難う」
「めいわくだったとか……」
「ううん、気を遣わせたね」
「ほんとうに?」
「本当だよ、昔を思い出していただけ」
不安な表情を見つつ正直に答えると、安堵の一言を聞いて後悔が生まれた。慰めるはずが慰められると、違うだろって抱えたくなった。心を落ち着けて息を吐くと、曇り空を仰いで口を開いた。
「僕が小さかった頃はママも優しくてね……」
何処へ行くにも手を繋ぐほど、仲が良かった。一緒に楽しんで時に怒られてもと、思い出なんだ。花畑の小道を歩く写真は今もと、帰りたくなる。
今日の喜びを話せば褒めてくれた。反省や辛さを話せば考えてくれた。微笑む顔が大好きに思うこと、愛情は深く幸福をも感じていた。頭を撫でて貰えると、×××××中断のち終結×××××




