CoCシナリオ『あふまがつじ』
10PV記念シナリオ! クッソ更新止まってたんで新規で
書きました。夜廻を元ネタとするシナリオです。
Wordに書いてたのをそのままコピったので、変なとこあったら教えてください。
1.シナリオ情報
種別:シティ・クローズド
舞台:現代日本
推奨技能:三種の神器、オカルト、人類学、(戦闘技能)
推奨人数:2~4人
SANc:多
難易度:鬼
☆特記:憑物探索者について
・憑物探索者はシナリオ開始時ランダムに決まり、PLにはその存在が伏せられている
・憑物探索者はシナリオ開始時点でツジガミ様に憑かれている
・憑物探索者はシナリオ開始前に行方不明になった家族の1人が自室に死体となって現れている
・しかしその際の狂気とともに死んだ家族に関する記憶をツジガミ様に奪われたため、何も覚えていない
2.あらすじ
最近、三川市市では行方不明者が相次いでいる。彼らが見つかることは殆どなく、現在警察は一切の手懸かりを得られないどころか署内から犠牲者を出す始末だ。依頼、使命感、友人の捜索、好奇心……その他様々な理由から探索者達は事件の調査に乗り出す。
この事件は2種類の神話生物によって引き起こされたものである。
3.導入
このシナリオの導入は2つに分かれる。即ち、〈1:ツジガミ様に憑かれる〉と〈2:変死体の発見〉の2組である。
〈1:ツジガミ様に憑かれる〉(1~2人)
探索者達はその日の行方不明者の捜索を終え、夕焼けを背に歩いている。途中、十字路に差し掛かった際、突然異臭が漂いだす。悪夢を煮詰めたような臭いにCON×5ロールに失敗した探索者は吐いてしまい、1d6時間全技能-10%。その後、聞き耳に成功した探索者は以下の古歌を聞く。
「禍事を 祓ふ夕げの うらまさに つげの小櫛も しるし見せなむ」
この古歌が3度響いた後、何か小さい粒のようなものが跳ねる音とギロのような音3回ずつ響く。
これらの後、十字路の中心から青白い煙が溢れ出し、異臭がさらに強まる。KPは以下の描写を読み上げること。
「黄昏の辻におぞましいナニカが収束していく。それは、あなたが知るあらゆるおぞましさの総和をいとも容易く上回り、なおも収束していく。煙の流出が止み、収束したナニカがソレを形作り始めた時、あなたたちの膝は笑っていた。本能が警鐘を鳴らす。こんなものが存在して良いはずがない。あれはあってはいけないものだ。しかし、無慈悲にもソレはあなたたちの前にその姿を顕した。それは厭らしくも開いた口から針のような舌を覗かせた猟犬のように見えた。いや、それの輪郭ははっきりしていないが巨大な蛭のような形をしている。猟犬のような印象を受けるのに、蛭のような形をしている、見ていてあなたたちは気が変になりそうだった」
最初の異臭は《夜》で死亡した「菅井浩二」の死体が現れたことによるものである。
憑物探索者はアイデアに成功すると既視感を憶える。
ツジガミ様を目撃してしまったことにより、探索者たちはSANc1d8/1d20+1d6。
ツジガミ様、ティンダロスの王の変異体、百万の恵まれたるもの、逢魔が辻の饑神
STR:45 CON:45 SIZ:45 INT:19 POW:45 DEX:24 耐久力:45
db:+4d6
舌:95% 負の感情などを吸う(恐怖心を吸い勇敢なもしくは無謀な行動をとらせる、対象の狂気を回復など)+対象の持つ大切な何かを奪う。大切なものを失った時の影響度は負の感情の大きさに比例する。この行動に成功した直後ツジガミ様は必ず退散する。不定の狂気および永久的狂気を吸われたものは即座に失ったSANを回復する
煮詰めた悪夢の臭い:自動成功 吐き気のよりCON×5に失敗した対象は1d6時間全技能-10%(重複無し)
呪文:なし(任意の呪文)
装甲:8ポイントの絶えず変化する身体、毎ラウンド2ポイントの耐久力を回復、通常武器からは最低値のダメージしか受けない
詳細:ツジガミ様は人間の負の感情を祓う神様が衰退した姿である。現在は十分な信仰を得られないために神格が揺らぎ、負の感情を吸うとともに代償としてその人間の大切なものの1つを捧げさせる存在となり果てている。しかし山神とは敵対関係にあり、山神に抗う人間には手を貸すこともある。ツジガミ様は出会った相手のうち負の感情を抱いている者に取り憑く。ツジガミ様は憑いた相手が負の感情(ゲーム的には発狂)を得るたびに現れ、負の感情を吸って去ってゆく。なお、導入でのみ異臭に対する憑物探索者の強烈な不快感を理由に顕現している。ツジガミ様に遭遇することによるSANcは1人につき1回しか発生しない。
先ほどの強烈なSANcにより、探索者は発狂しているだろう。ツジガミ様は発狂した者の狂気を吸うと退散する。誰も発狂してないなら恐怖心などを吸うことにすればよいだろう。探索者が警察や病院に行くと宣言した時点で導入1は終了する。
〈2:変死体の発見〉(1~2人)
時系列は導入①の翌日。探索者たちは昨晩事件があったという十字路にやってきている。この事件とはもちろん導入①のことでもあるが、もう1つの事件の捜査も兼ねている。その事件とは、問題の十字路で変死体が発見されたという事件である。十字路の中心には変死体、道の脇には道祖神のようなものがある。
変死体:片目を失っており、服以外には何も身に着けていない身元不明の遺体。いまだ現場に安置されている。目星、もしくは持ち上げるなどすることで異常なほどに軽いことに気付く。医学、もしくは現場の法医学者に聞くことで脳、心臓、眼球、その他いくつかの内臓を失っていることが分かる。
道祖神:禍々しくもどこか神々しい要石。目星で蛭の丸まった形をしていること、長い間忘れ去られ放置されていることが分かる。人類学、オカルト、歴史で肥留上神社のものであると分かる。
探索者たちが被害者(導入①の探索者)のもとに話を聞きに行くことを宣言したら導入終了。
4.肥留上神社
三川市市の東に位置する神社。現在は放棄され、市民には忘れ去られている。一通りの探索を終えると警察から変死体の身元が確認された旨を伝える電話がかかってくる。
〈3:参道〉
周囲を林に囲まれた参道。いたるところに苔がむしている。
鳥居:一点を除くとごく一般的な神社。目星で柱に蛭の意匠が彫られていることが分かる
手水舎:手水の方法について書かれた看板が立っている。吐水口は龍ではなく蛭である
参道:目星で蛭が多く見られることが分かる
狛犬:鳥居側から見て左が阿、右が吽。狗ではなく蛭。
〈4:肥留上神社〉
楼門:高欄の意匠は「霧を吸う蛭」。
絵馬殿:朽ち果てた絵馬がかかっている。目星で「つらい」「もう何も欲しくない」「死にたい」などと書かれていることが分かる。
拝殿・本殿:入ろうとするとツジガミ様が顕現する。無理に入ろうとするとツジガミ様の怒りに触れ、死ぬよりつらい目にあうことだろう。
5.変死体の身元
〈5:顔のない死体〉
警察に行くことで、以下の情報を聞くことができる。
・男性の名前は菅井浩二、市内の銀行で働く一般男性
・行方不明者の1人
・行方不明になる直前に安倉山に入っていく様子が目撃されている
・4人家族の世帯主だが、なぜか家人が誰も浩二の存在を憶えていない
・家人の脳は極めて平常である
〈6.菅井家〉
家人に話を聞いてもそんな人は知らないとしか返ってこない。しかし、浩二の部屋は存在しているため、調査は許可してくれる。
浩二の部屋には机上の書類、本棚、パソコン、家族写真がある。
机上の書類:基本的には何の変哲もない山積みにされた仕事先の資料。目星or図書館で裏面に小さく「もう何も欲しくない」と書かれている
本棚:図書館で以下のような内容の日記を発見することができる。
────────────────
×月〇日
今日も残業をさせられた。ここ1ヶ月間ほぼ毎日だ。
(以下愚痴が続く)
×月△日
「ちゃんと残業代が出るんだから働け」だと? ふざけるな、俺が欲しいのは残業代じゃなくて休暇だ。
〇月×日
(解読不能)
〇月□日
死にたい。(その他は黒塗りにされている)
(白紙の頁が続く)
〇月△日
もう何も欲しくない
────────────────
パソコン:検索履歴に「安倉神社」とある
家族写真:浩二の顔だけが黒く潰れている。目星で塗りつぶしたり加工したものでは無いと分かる
6.《夜》があなたを閉じ込める
〈7.安倉山〉
三川市市西部に聳える標高300mほどの山。放棄され手入れされておらず、今では立ち入るものはほとんどいない。過去には山神を祀る祭りもあったが、今では民俗学者の記憶に残る程度である。
放棄され参道すら残っていないが目星で獣道のようなものが発見でき、そこから山に入ることができる。さらに生物学でそれが獣道ではなく人の踏み入った後だと分かる。
道中は特に何も起こらないが、目星もしくはアイデアで妙に蜘蛛が多いことが分かる。
〈8.安倉神社〉
肥留上神社よりさらに荒れ果てた神社。鳥居は崩れほぼ残っておらず、社も崩れて腐敗した木材の山と化している。
鳥居:ほとんど腐った丸太と言えるほどの柱。目星でかろうじて残る蜘蛛の彫刻が見つかる
社:森に飲み込まれ、よく見なければそこにあることすら分からないほど荒れ果てている。目星で中心に据えられた玉に気付く。蜘蛛の彫刻が施された翡翠製の玉で、淡い緑光を放っている。この玉に触れた時点で全員が《夜》に飛ばされる。
7.《夜》
《夜》は安倉山の山神によって作られた「在りし日の三川市市」である。《夜》はその名の通り常に真夜中の世界であり、「細蟹の玉」を核としており玉が破壊されれば《夜》に綻びが生ずる。玉の破壊こそが探索者達の最終的な目標である。
〈9.《夜》の街〉
「探索者たちは気が付くと警察署の前に倒れている。あたりは暗闇に、いや、《夜》に包まれており空には星の1つすら見えない」
探索者達は目星で懐中電灯が人数分路上に落ちているのを発見することができる。
建物は基本的に入ることができない。人と長らく接していない山神は人の営みを再現できないからである。なお、行方不明者はすべてここにおり、死亡すると元の世界に吐き出される。また、ツジガミ様は夜の世界にも現れる。
☆《夜》における探索
・探索者が移動するたびに「お化け」に出会う確率が初期で10%ある
・エンカウント率はリアル20分毎に10%上昇する
・「お化け」は隠れるに3回もしくは忍び歩きと隠れるに成功することでやり過ごすことができる
・隠れる及び忍び歩きにはリアル20分毎に10%の下降補正がかかる
・「お化け」は戦闘により退散させることもできる
・「お化け」のステータスはリアル20分毎に2ずつ上昇する
・「お化け」の技能値はリアル20分毎に10%上昇する
・「お化け」(初期)
STR:8 CON:8 SIZ:8 POW:1 DEX:8 耐久力:8
db:-1d4
《夜》の一触れ:30% SANc0/1d(「お化け」のPOW)
・「お化け」の描写はGMが自由にしてよい
・「お化け」を目撃した者はSANc0/1d(「お化け」のPOW)
〈10.《夜》の人々〉
《夜》では行方不明となった人々に会うことができる。幸運に成功することで出会うことができ、以下のような話が聞ける。幸運ロールは移動するたびに1回できる。
・1人目:この世界では夜が明けない、蛭の化け物は恐怖している者のもとに現れる
・2人目:ここにいる者は何かに絶望している者が多い、街の「お化け」は蛭の化け物を恐れている
・3人目:私は蜘蛛の化け物にここへ連れてこられた、蛭の化け物に刺されると心が安らぐが何かを失ってしまう
・4人目:ここにいる者の全てが外に出たいと願っているわけではない、蜘蛛の化け物と蛭の化け物は敵対している
8.《夜》の肥留上神社
〈11.ツジガミ様〉
基本的には現実世界と同じであるが、荒廃してはいない。
・鳥居~楼門:現実世界と同じ
・拝殿:棚、本棚がある。棚からは目星で針が、本棚からは古い書物が出てくる
☆針
鈍く光を反射する銀色の針。アーティファクトであり、ツジガミ様に祝福してもらうことで山神の繭を刺して萎ませることができるようになる。また、山神に刺すことで3d6のダメージを与えることができる。初期値50%。MP1を消費するごとにその攻撃のみ技能値に+10%
☆古い書物『黄泉竈食』
「黄泉竈食」の部分以外はかすれていてほとんど読めなくなっているため、図書館÷2もしくは日本語÷2に成功しなければ読むことができない。
『外のものは安易に口にしてはならない。それはその場所と縁を結ぶことに他ならないのだから』
解読に失敗した場合、この情報はオカルトや人類学に成功することで得ることができる。
・本殿:『あなたたちが本殿に足を踏み入れた瞬間、もはや感じ慣れた気配が現れる。ツジガミ様はあなたたちの方を向くと、獲物を狙うように鎌首をもたげた』
ここで探索者達はPOWの合計値でツジガミ様とPOW対抗ロールを行う。これに成功することで山神に抗う意思をツジガミ様に示すことに成功し、針に祝福をしてもらえる。ツジガミ様はその後、姿を消すが、発狂した際は今まで通り現れる。失敗した場合はツジガミ様に精神を飲まれ、SANc0/1d8を行う。もちろん発狂した場合は舌による攻撃を受けることになるが、その場合もツジガミ様は退散しない。
神社を出る際、憑物探索者はツジガミ様に後ろから舌で刺される。これは負の感情を吸うためではなく、失った記憶を返すためである。
『朝から帰ってこない×××。もう日が暮れる。出先からはすでに帰ったとの返答。警察に連絡すべきか。突然目の前に現れる×××。腐臭。刳り貫かれた左目。胸に空いた大穴。蛭の化け物。それはこちらへとその舌を伸ばし……』
上記の内容がフラッシュバックし、憑依探索者はSAN値を10失う。ただし、このことによる発狂は発生しない。
9.《夜》の安倉神社
〈12.《夜》の安倉山〉
現実世界とは違い、山は整備されており神社までの道が伸びている。聞き耳で生物の気配が一切しないことに気付く。これは、《夜》には生物が存在しないためである。
〈13.《夜》の安倉神社〉
手入れの行き届いた荘厳な神社。しかし蜘蛛の巣だけは取り払われておらず、いたるところに人間ほどもある繭がぶら下がっている(SANc0/1d4)。
鳥居:入り口を巨大な繭が塞いでいる。針で繭を突き刺すことで繭を除去し、中に入ることができる。横から回り込むと社が見えず、たどり着くことができない
参道:ここで遭遇する「お化け」は人体をつなぎ合わせてつくられた蜘蛛固定
手水舎:手水の方法が書かれた看板が立っており、大きく「必ず身を清めること」と書かれている。ここで手水の正式な方法で身を清めた者は、水で口をゆすぐ過程で黄泉竈食に抵触してしまい、山神を倒した場合のエンドがCルートになる
社:四隅に「細蟹の玉」が祀られている。近づくと最終局面に移行する
10.最終局面
〈14.山神との攻防〉
『あなたたちのうちの1人が社に足を踏み入れようとした途端、滲み出るようにしてソレは現れた。人間の腕をつなぎ合わせたような手足、関節部の人頭、溢れ出す腐臭。全体の形としてはアラクネに近いだろうか。信仰を失い、神格を見失った神の成れ果てがあなたたちの前に立ちふさがった』
山神、堕ちた安倉山の守り神、土地神の成れ果て
STR:45 CON:45 SIZ:45 INT:19 POW:45 DEX:24 耐久力:45
db:+4d6
悪運の吹込み:95% 幸運を半分にする
狂気の芽生え:70% SANc1/1d6
痛みの植え付け:70% 2d6+db
絶望の誘い:狂気自殺癖の発症(1d6ターン)
人々い忘れられ、信仰を失い、神格の崩壊した安倉山の神。現在は徒に人々に不幸、不運、悲愴、絶望、その他様々な負の感情を吹き込むだけの存在と化している。《夜》は彼の神が無謬を慰め在りし日の信仰を思うための世界である。
山神に遭遇したことにより、探索者達はSANc1d6/1d20。
この戦闘中、ツジガミ様は現れない。神同士の縄張りは容易に侵せるものでは無いのだ。
エンディングリスト
本シナリオのエンドは3つに分岐する。
〈15.エンドA〉(トゥルーエンド)
山神との戦闘に勝利するルート。耐久力が0になると山神は風にさらわれる灰のようにして消える。山神を倒した探索者達は「細蟹の玉」を破壊するだろう。玉の最後の1つを破壊すると社の中心に淡い緑色の渦が発生し、日の昇った現実世界への出口となる。が、渦の方へ歩を進めると、探索者の胸中に「いかないで」「やめて」「まって」「やめろ」という自身ではない何かの声が響く。探索者達はこのタイミングで現れたツジガミ様にその声を消してもらうかを選ぶことができる。
消してもらう場合:(一対揃って残っているなら)片目や片腕、片足のうちのひとつ奪われる。どれも残っていないなら大切なものの1つを奪われる。さらにオカルトに+20%、クトゥルフ神話技能に+5%
消してもらわない場合:常に頭の中に山神の声が響く。シナリオに参加するたびSANc0/1d3
数日後、行方不明者の大半が生きた状態で発見されたというニュースが流れる。生存者は全員片目や片足、片腕を失っていたり正気を失っているという。また、行方不明者の数は警察の把握していた数倍に上り、警視庁は総力を挙げて原因解明に努めているらしい。
クリア報酬:クトゥルフ神話技能+10%、オカルト+20%、SAN値+2d20、SAN値+1d10(憑物探索者のみ)
〈エンドB〉(バッドエンド1)
山神の手にかかり、死亡した場合のルート。探索者のいない街に次のようなニュースが流れる。
「次のニュースです。きょう未明、市内の(探索者の職業と名前)さんが自宅で遺体となって発見されました。遺体は激しく損傷しており、警察は殺人事件の可能性を視野に入れて捜査を進めているとのことです。つづいて明日の天気です」
あなたがいなくとも、夜が来て、朝が来て、また夜が来る。
クリア報酬:なし
〈エンドC〉(バッドエンド2)
黄泉竈食状態で山神に勝利するルート。渦に手を伸ばすも触れられず、すり抜けてしまう。探索者は2度と《夜》から出ることは叶わない。
たとえ日の光を拝むことが叶わなくとも、日が昇らなければ新たな夜の訪れにおびえることは無いのだ。
クリア報酬:なし