2nd story ~後編~
加奈がホテルに行った理由。
かけた保険。
俺が加奈に言われた言葉。
全てが明らかになる最終話。
黒服の男2人はこちらに銃を向けたまま連絡をとった。
「こちらA1。入口班、応答せよ」
「……。」
「入口班。どうした?応答せよ!」
入口班は応答しない。当然だ…。俺の保険はしっかりと機能している。
A1と名乗った男は、こちらに向かって、
「何をした?」
率直な疑問をされたので俺は少し驚いた。
「まあそうですね…」
A1はイライラしている。
「早く答えろ!」
後ろに人影が見えた。
「形勢逆転って事だよ!」
俺は後退して機動隊が前進した。そして黒服2人を気絶させた。後から来た男と俺はハイタッチした。
「遅いじゃないか。俺の予想より1分くらい遅かったぞ、竜!」
「仕方ないじゃないか…。連絡きてからすぐに機動隊が動かせるわけじゃないんだからよ。何より久しぶりだな、真咲!」
竜は友希が死ぬ前に合うきっかけを作ってくれたやつだ。そう、知り合いの状態が知りたいと言って連絡をよこしてきたやつ。
「早速だが俺は加奈を追いかける。後からついてきてくれ。」
「ああ、分かった。お前が今まで苦しみ続けてきたのを俺は見た。これ以上、お前を傷つけないように努力するよ」
いつの間にか一服していた。竜はとても頼もしく見えた。
俺は加奈が入っていったドアを開けた。そこには縛られて殴られている加奈がいた。そして殴っている奴は太っているギャングだ。
「おいお前!加奈に何してる!事と次第によってはお前を殺してやるからな!」
「待ってたよ。真咲くん…。今、お前のことを殺してやる。」
ギャングを俺に引き寄せた時に加奈を機動隊が助けた。
「ダメ!」
加奈はそこを動いた時に大きな声で叫んだ。次の瞬間、この部屋は爆発した。
ニュース速報です。
本日14時30分にホテルにて爆発が起こりました。
死者1名。
重傷者1名。
軽傷者数十名。
俺は目が覚めると見たことのない部屋にいた。
「マー君!大丈夫?」
声がした方向を見ると加奈が泣きながら手を握っていた。
「加奈!それは俺の台詞…」
体を起こそうとした俺は、その時やっと気付いた。
『体が動かない』
声は普通に出た。しかし体は全く動かない。
「なあ加奈。俺死ぬのか?」
加奈は涙を拭いて、
「先生が言うには目が覚めたなら大丈夫だそうです。目が覚めなかったら、今夜が山だったそうです。だからマー君が目覚めてくれて良かった」
俺は疑問を加奈にぶつけた。
「加奈…。どうしてあんな場所に行ったんだ?」
「それは…」
その瞬間、突然ドアが開く。
「竜!」
「お!目が覚めたか…良かったよ、真咲。お前まで失ったら俺に友達が居なくなるじゃないか。もう心配させるなよ」
「そうだったな。竜の友達は、俺と友希だったもんな…あはは。」
何かを思い出したかのように竜は、
「そうだ。現場の状況、聞きたいか?」
「頼む。」
「ギャングは死んだ。プラスチック爆弾でお前は大きな怪我を負った。プラスチック爆弾は、ベットの下にあった。幸い、ギャングがお前の前にいたおかげでお前が死なずに済んだ。他に聞きたいことはあるか?」
「勿論だ。本題を聞いていない。ギャングが何故こんなことを行なったかを聞かせてくれ」
竜は渋った顔でタバコを加えた。
「おい待て!病院は禁煙だ」
俺は勢いよく止めた。
「気分だけだよ。」
出しかけてたライターをゆっくりと閉まってそう言った。
「ギャングの事を調べたよ。5年前に遡る。友希の事故があったろ?その事故によって奴の息子が死んだらしい。奴の息子は車を運転していて飲酒運転で捕まりそうになったところ、信号無視で友希を引いてそのままスリップして、車の爆破。爆発の原因は、燃料に引火…」
説明の途中で疑問がよぎった。
「ちょっと待てよ。友希は悪くないじゃないか。」
「分かっている。それでも奴は友希のせいにして恨んだ。しかし友希はもういない。そこから奴は友希の最も近くにいた奴に恨みをぶつけようと考えた。」
「完全な逆恨みじゃないか!」
「そうだ。そこで真咲の働いている店に行ったらしい。」
竜はタバコをしまった。
「加奈さん…」
黙って聞いていた加奈は急に話しかけられたことによって動揺していた。
「な、何ですか…?」
「あとは君から話してくれるか?」
「はい。勿論私がお話します」
竜はすでに聞いていたようで、ドアから出て行った。その際、こちらに親指を立ててウインクしていた。
「マー君、改めて言うね。でも聞いても怒らないでほしい…。ギャングが店に来た時、マー君はいなかった。そして狙いは私に変わった。ギャングは私に『今夜、近くのバーに来い』と言ってた。そして夜にバーに行ったら突然、『俺の女にならないと真咲を殺す』と脅されたわ。そして今日、答えを言いに行ったの」
「なんて言ったんだ?」
「了承しに言ったのよ。するとギャングは、『裏切ったな。分かってたからいいものを』とか言って私を縛り上げて殴ってきたの。まさか機動隊がいるなんて思わなかったしね」
「すまない。でも俺を庇って了承しに言ったんだろ?」
「そうだけど…」
「俺な、めっちゃ傷ついたんだ…。もう関わるなって言われた時、人生のどん底に落ちたかのようだったよ。」
すると加奈は涙を浮かべて、
「ごめんなさい。ああ言うしかなかったの。」
「ギャングが話を持ちかけた時、俺に相談してくれて良かったんじょないか?でも、無事で良かった。」
加奈は泣きながら、
「うん…。マー君も無事で良かったよ。あと、私のおかげでごめんね。」
丁度良いタイミングで医者が入ってきた。
「体におかしいところはありませんか?」
俺は一番最初に気づいた異変を口にした。
「体が動かないんですけど。」
医者が驚いていた。加奈も…竜も。
「なんでもっと早く言わなかったんだよ!」
竜はタバコを地面に落とし、
「全然大丈夫そうだったのに…」
加奈は不安そうに、
「分かりました…」
医者は何かを察したかのように…。
医者は説明した。奇跡が起きない限りもう俺の体が動くことはない事を。何よりもう退院していい事も告げた。
俺はこれから何をして生きていけばいいんだ…?
「加奈…俺と関わるのはもうやめろ。」
俺の口からこぼれた言葉。
「冗談だよね…?」
「いや、本気だ。これから俺と関わっていたらお前の目標は遠ざかっていく一方だからな」
「ねぇ。どうしてそんなこと言うの?どうしていつも自分勝手に決めるの?私の一番の目標を知ったように言わないで!」
「じゃあなんなんだよ⁉︎」
「マー君を私に惚れさせることよ。マー君と未来永劫一緒にいる事。女の一番の幸せ…結婚することよ。」
その場のみんながその言葉に耳を疑った。
そして俺は、
「加奈に俺はきっと恋をしている…。だが結婚は介護する事と同意義だぞ?そんなの俺が耐えられないよ。」
「マー君。あなたがバイトに入ってきた時、一目惚れしたの。あなたを支えてでも一緒に居たいと思っています。私と結婚してください!」
付き合ってをすっ飛ばし、結婚と言われた俺は数分フリーズしていた。
「お、俺でよかったらよろしくお願いします」
俺は了承した。
すると竜は俺の耳元で、
「吹っ切れたのか?」
「いや、あいつのことは忘れられないと思う。でも俺は今生きてる。だからこそ、前に進む。」
「そうか…。おめでとう!」
そう言い残してその場を去っていった。
加奈を通して俺は生きる喜びを知った。加奈がいなければ俺は自分の殻を破ることは出来なかっただろう。
俺はこれからこいつとこれからを生きる。
10年後…
「お父さん!」
大きな声で俺を呼ぶ子供…。
車椅子を動かしてくれる加奈…。
そして俺はシェフとしての腕を振るう。
人生の中で起きた奇跡…。
生きる事は素晴らしい。友希、お前はこれを伝えたかったんだな…。
「ありがとな。加奈。」
「いいよ、マー君!で、何が?」
楽しく1日1日を過ごしこれからも楽しい人生を過ごせる事を祈るばかりだ。
~fin~
この作品を読みきって頂きありがとうございます。これからも小説をあげたいと思っていますので評価や感想などよろしくお願いします。