一号の椅子
また掃除をサボった
サボり仲間と後ろに立たされた
けど反省感を出すのが得意で
いつもすぐに座ってよいと
許可が下りるのは僕だった
じゃあと僕は上っ面だけ良くしていった
人が見るのは雰囲気だけだから
ああ自分の椅子になんて
座れなければよかった
嫌なこと良いこと
あったけれど
笑顔をばらまいた
笑顔が上手くなった
笑顔で乗り切れた
でも何もない大人に
なってしまった
また職を失った
申し訳ないけど辞めてくれと
曖昧な笑顔で頼んできたから
僕は爽やかな笑顔で
最後の給料を受け取った
モラトリアムの過ごし方を間違えたかな
なぜ裏腹な笑顔が出るのかな
あの椅子に座れなかったら
何か変わっていたのかな
嫌なこと良いこと
あったけれど
笑顔をばらまいた
笑顔が上手くなった
笑顔で乗り切れた
でも何もない大人に
なってしまった
僕はまだあの椅子に座ったままだ
背に一号のシールが貼られたあの椅子に
手を挙げて立ち上がろう
立ち上がって違う景色を見よう
歩き回って違う景色を見よう
飛び回って違う景色を見よう
座ったままじゃできない
嫌なこと良いこと
あったけれど
笑顔をばらまいた
笑顔が上手くなった
笑顔で乗り切れた
でも何もない大人に
なってしまった
ならどんな大人にでも
なっていけるか
僕はとりあえず笑っておけばなんとかなると思い過ごしてきました。実際それでなんとかはなるんですが、何かを成せはしないんです。だから何かを成すために笑ってごまかすのはなくしていきたいと思っています。