始まり
民家の屋根を疾走し、堀を飛び越え、皇居に侵入する影が一つ。その影は音も無く皇居内を移動し、和上天皇の部屋の前へ。警備員たちに声をかけ、ドアをノックする。
「失礼致します。御報告があります、和上天皇陛下。」
「やはり、ダム建設に反対する人々が巻き込まれた事故は人為的なものだったのですか?」
「はい。事故を起こしたのは、親衛隊の忍だと思われます。」
「そうですか...。困ったものですね。やんちゃな首相には手を焼きます。ダム建設に反対する人々の様子はどうですか?」
「動揺は広がっています。ですが、生き残った者の中に事故にあう直前に付近で怪しい動きをしていた人影を見たという者がおりまして。それを信じた人々がさらに怒りを露わにしています。『首相がやったに違いない!!』と。」
「それを首相が聞いたら、また忍を送り込むでしょうね。その前になんとか阻止をして下さい。これ以上犠牲者を出してはなりません。」
「御意」
「腕の立つ者を連れて行きなさい。許可します。」
「了解いたしました。では、相澤、伊藤、白崎の3名を連れて直ちに向かいます。」
「くれぐれもこんなところで命を落とすことのないように。他の3名にもそう伝えなさい。」
「はい。では、行って参ります。」
部屋を出て、警備員たちに声をかけ、次は陰陽寮に向かう。