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短編集

お姫様、これは馬鹿には見えない服でございます。

作者: 星馴染
掲載日:2015/10/03

開いて頂きありがとうございました。

 国の宰相が、お姫様に面会を求めてきた時の事。

「姫様にぴったりの服がございます」

 箱から取り出すような動作をするが、宰相の手には何も無い。

「何も無いじゃない……」

 そう言うと、宰相はニヤリと笑って言った。

「これは馬鹿には見えない服です」

「馬鹿には見えない服?」

 首をかしげると、宰相はわざとらしく言う。

「ああ、もしや……姫様には見えなかったりしますかね……」

「ば、馬鹿にしないで下さい!見えます。きちんと見えてます!」

「そうですか!それは良かった。先日、この服を売りつけに来た商人がおりましてな。

姫様に似合いそうな色鮮やかな物でしたので、献上するために買ったのですよ。

姫様のいつもの藍色の着物も素敵ですが、たまには違った色の物をと思いまして」


「ええ、ありがとう……」

そう言って、無言で姫と宰相は見つめ合う。

「あの、お召しにならないのですか?」

「え……?」

 着るの……?これを……?と何もない空間をスカスカさせて、姫様は宰相を見る。

「もしや、見えてないからお召しになられないのでございましょうか?」

 不安そうに煽る宰相。

「解りました、着てきましょう……」

 そう言って席を立つ姫様……。

「姫様、その服は着物ですので下は何も付けないようお願い致します」

「ええ、解っています……はぁ!?」


 宰相はニヤニヤと笑いながら言った。

「楽しみですなぁ、姫様の美しい着物姿は」

「……くっ、宰相には本当に服が見えているのよね?」」

「もちろんですとも!」

 目を逸らしながら、早口に答える宰相。

「(こいつ……!)」


 一時間後、姫様は全く変わらない姿で出てきた。

「姫様……?」

「ありがとう宰相、素敵な色ね。気に入りましたわ」


「(下に何も付けないでくださいと言ったのに……)」

 悲壮な表情を浮かべる宰相。

「(もし何かつっこまれたら、何で服の下が解るの?と言ってやるわ)」

 宰相をじっと見つめる姫様。

「……ええ、お似合いですね」

 乾いた笑いを浮かべる二人。


 そこへ、一人の侍女がやってくる。

「あら、姫様。服をお着替えしたんですね。いつもの藍色ではなく、桜色の着物ですね」

「「……」」


 侍女はそう言って、無言で部屋を出て行く。侍女の出て行く先を、二人の服を見えない物はじっと見送った。



読んでいただきありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[一言] 姫様に着物が見えてたら大惨事
[良い点] 良い落ちでした [一言] そうだよね、馬鹿じゃなきゃ『馬鹿には見えない服』で姫の裸体を見ようなんて思わないよねw
[一言] 宰相 100歩 姫 50歩 侍女 0歩 =宰相と姫は五十歩百歩でどっちもバカ
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