次回予告
少女は、否、彼女は、運命を呪う。
幸せだった日々を忘れて。
・・・否、忘れられないが故に、それ故に。
彼女は「幸せを返して」と呪うのだ。
■ ×年目
彼女は恐らく、幸せであった。
両親の愛には恵まれなかったが、否。少しはあれど、満たされなかったが。
それでも祖母の愛には恵まれて。
自分を支える「生き甲斐」と、生を支える「食」というものと。
友人と、その情に恵まれて。
彼女はきっと、幸せだった。
・・・幸せで・・・
・・・あった筈なのだが。
古ぼけたビデオのテープを巻き戻すように。
例え、ノイズが邪魔をしたとして。
彼女はそれから、
目を背けられない。
背けられたとして、
逃れられはしない。
彼女の支えは、愛したいのちは。恐らく永遠に失われてしまった。
・・・テープが。機械に、絡みつき・・・
壊れて、
そこから戻らないのだ。
人の記憶は曖昧で。
幸せは薄れ。しかし呪いは狂気は怨念は。
・・・色濃く、影を落とすのだ。
・・・祖母の生の果てに。その呆気ない幕切れに。
彼女は何を見るのだろうか。
・・・或いは何も見ようともしない?
失意の果てに、彼女が手鏡を翳す時。
その反射光は。
更なる数奇な運命を照らす―
―・・・それは人の目に映る、幻の彩光か。
それとも・・・
そこに確かにあった「誰か」を照らす?
■次回、きょうのお墓ご飯。
「零年目、某日」。 ・・・或いは、ゼロより前の「マイナス」の月日を語ること。
「一年目、某日」。 ・・・そして、ゼロより後の「プラス」の歩みを語ること。
・・・尚、予定は未定。公開されるエピソードは仕入れの都合上変更になることがございますのでご容赦を。
シェフの気まぐれが数多くあるように。運命はやはり、気まぐれだらけだ。