ビーフシチュー
『はぁ… まぢかよ…』
ドタキャンされた。
……
ピロン♪
んっ?
〜ごめーん(>_<) 今日キャンセル〜×× 明後日なら大丈夫だからぁ♡ごめんね(^з^)-☆〜
おい×2まぢかよっ…
嫁には、仕事で遅くなるって、言っちゃったし…
参ったなぁ…
しゃーない…
なんか喰ってくか…
彼女とは
本気って訳じゃないけど、何となく
関係もっちゃって…
そら、嫁より若いのきたら、断らないでしょ
て、感じの、ノリで半年…
嫁さんも、子供も可愛いよ。
愛してるし。
罪悪感 無くはないけど、
何だろ〜ね〜。
多分、ドキドキとか、愛されてる実感とか
感じたいって言うかぁ…
必要とされたいんだろーね。
まぁ彼女も、何処まで本気かわかんないから、何とも言えねーけどさぁ(笑)
パタン
『いらっしゃいませ』
おっ♪
可愛い店員(^з^)-☆
何となくカウンターに座る
水とおしぼりを そっと置く
『ご注文 決まりましたら、お呼び下さい。』
そう言って、またカウンターの中へ戻って行った。
メニュー、メニューっと
んっ?
まぢでっ?
メニューに載っていたのは
スープだけ…
『あのっ メニューはスープだけですか?』
『はい。当店はスープ屋ですので。
セットで、パンとサラダが付きます。
お飲み物は、裏面をご覧下さい。』
…
まぢかー
女子の店って感じだー
…
今更出る訳にもいかないし…
『じゃぁ…ビーフシチューとグラスワインの赤』
『かしこまりました』
♪ピロピロン ピロピロン♪
『はい。』
『ごめん、まだ仕事なんだ。遅くなるから先に寝てな。ご飯?大丈夫、食べてかえるよ。
うん、じゃぁね。おやすみ』
…
はぁ…
何やってんだオレ…
カチャン
『わっ!!』
水の入ったグラスに肘が あたった
中の水が跳ね上がり、袖を濡らした。
『まぢ ツイてねー』
ハンカチを取り出した。
『大丈夫ですか。』
すぐさま飛んできた店員が跳ねた水を拭く。
『ただいま、新しい物と交換致します。』
『あっ、大丈夫です。』
て、聞こえてないな…
店員はもうカウンターの中だ。
そして、新しいグラスを手に、笑顔でやって来た店員は、こう言った。
『素敵な奥様がいらっしゃるんですね。』
『はい?』
『ハンカチ、綺麗にアイロンかけられて、
スーツもシャツもシワひとつない。
毎日着るものだからこそ、丁寧に扱っていらっしゃる。
自分の物じゃないのに。
すごく、愛されているんですね。
ご主人の事。』
…
『お待たせ致しました。』
そーっと 置かれたビーフシチューは、
いい匂いがした。
ゆっくり口に運ぶ。
身体が暖かくなった。
『ありがとうございました。』
家に帰ると、眠そうな嫁が 迎えてくれた。
『ぉかえりぃ♪』
『ただいま』
『ごめん』
小さく つぶやいた。