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呪い

初投稿です。

好きなものを好きなように書きます。

感性が合う人は、お楽しみくださいませ。

 あの日まで、普通だった。

 あの日まで、なんにもおかしなことはなかった。

 ――いえ、何もおかしくないです。でも、

 あの日まで、大好きだった、あの、

 ――いえ、今でも愛しております。でも、

 あの日まで、普通だった。

 ――いえ、今でも普通なんですよね。でも、

 あの日まで、マトモだった。

 ――いえ、今でもまともですね。でも。

 あの日まで、普通だった。

 普通だったんです。


 でも、

 でも、

 でも、

 でも、


 あの日まで、

 あの日まで、

 あの日まで、

 あの日まで、

 あの日まで、

 あの日まで、


 ねぇ、変わってしまったのは私の方でしたか?

 そうだとどれだけ救われるだろうか。

 ねぇ、私が、私だけが、変わってしまっただけなのだと、誰かに教えて欲しかった。


 あの日、貴女は帰ってこなかった。

 今も。


 あの時の私が幼かっただけなのでしょうか。


 私はあの日を忘れない。


 貴女は死んでしまった。

 いえ、貴女は確かに生きています。

 でも、貴女は壊されてしまった。

 壊れてしまった。

 奴らに壊されてしまった。

 殺されてしまった。

 それなら、貴女は死んでしまったということ?

 貴女は確かに生きています。

 でも、私の知っていた貴女は、死んでしまった。

 帰ってこなかった。

 奴らのせいで。

 嗚呼、人を示す言葉で言うのも嫌悪する。

 あれらのせいで。


 私の、私の大切な貴女を、壊されたことを、赦せないんです。

 私は赦せないんです。

 死体をどれだけ殴っても、蹴っても、踏んでも、刻んでも、焼いても、絞めても、折っても、捻っても、どうしても、復讐にはならない。

 苦しみが伝わらないから。

 おかげで、私は、一生呪い続けるという呪いを背負って生きていくことになりました。


 だから、私は、貴女に笑いかけます。

 貴女が壊されようとも、私が自壊しようとも、『貴女と私』は壊れないんだと、証明するんです。

 お互いにお互いがいる限り、私たちは不滅なのだと。

 私が言うには不躾でしょうか?

 でも、そうしたら、それが、一番の復讐になるでしょう?

 そう信じないと、私は貴女の近くに立っていられないんです。

 ねぇ、私はちゃんと、笑えていますか?


 ねぇ、返して。

 私の愛した貴女を返して。

 花の香りがするようなあの明るく柔らかい笑顔で笑う貴女を。

 新しいものを見つけたら何度危ないと言っても、それを持って私の元へ駆けてきて一番に見せてくれる貴女を。

 自分が誰かから貰ったものは、誰にねだられようとも渡さず、触らせることすら嫌がるのに、自分が作ったものや見つけたものは、片っ端から私に贈ってくれた貴女を。

 誰よりもお転婆で、誰よりも自分勝手で、誰よりも優しさと思いやりに満ちていた貴女を。

 純粋で無邪気な笑顔で、私に『あいしてる』と言ってくださった貴女を。

 返して。

 返せ。

 私の愛した貴女を。

 私の貴女を。

 返せ。

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