あとがき
体裁上、本小説のジャンルは「歴史・文学小説」という形をとらせていただいていますが、実際のところ本作の内容はファンタジーです。
僕自身が脳内で創造し、長年温めてきたキャラクターたちを、物語という体でご紹介させていただきました。それにあたり、時代設定を(飽くまでも僕個人が想像する)“古代”とさせていただいた次第です。よって、学術的な資料を読み漁ったりなど、詳しい時代考証はほとんどしておりませんので、その点はご了承いただければと思います。
ただ、制作にあたっての参考として、歴史上の伝承はいくつか引用させていただきました。個人的に好きな日本神話のエピソードや、それに関連する地に旅行した時の経験も、随所に散りばめられています。しかしながら、これも飽くまでスパイス程度であり、実際のところ描かれているのは、すべて僕の想像上の世界である――ということは、改めて申し伝えておきます。
そのような言い訳がましい前提のもと、イチコやトワリといったキャラクターの織りなす物語をこれまでに2本、書かせていただきました。前作『破滅の序章』、本作『破滅の章』、タイトルは退廃的なものになりましたが、“希望”をテーマにしたつもりです。悲しみや苦難を乗り越えながら、未来をつないでいく人々の姿を、僕なりに描かせていただきました。共感してくださる方がひとりでもいらっしゃれば、嬉しい限りです。
そして物語は、一気に現代へと進みます。
イチコとトワリが繋いだいのちが、一体どのような形で現代に実を結ぶのか――。その経緯を、これからじっくり描いていけたらと思っています。
ご期待いただけますと幸いに思います。




