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初コミケ記録「憧れの一日」

作者: 七竈

 これは私、『七竈』の初めてのコミケ一般参加の記録である。コミケ自体に憧れがあった私がやっと過ごせた一日を記録に残したくここに投稿することにした。

作者の実録に興味が無ければ閲覧はおすすめしない。「誰かの参考になれば〜」的な考えが全く無いわけではない。しかしほぼ自己満の文であり、身の安全のため詳細を伏せるからである。


では本題に入る。

 コミケは憧れだったがリアイベ経験の少ない私は中々その機会を掴めなかった。そんな時に「今回こそ行こう」と決めたのは一人の絵師さんがきっかけだった。


 その絵師さんは私が珍しく熱を持ち続けている関係性のキャラ達をよく描いていた。原作への解釈、絵柄、作風、言葉選び、SNSでの投稿の雰囲気、それらが全て好きである。ここまで好きな絵師さんは初めてだった。その人に直接会い、直接本を受け取りたい。その気持ちは日々少しずつ強くなっていた。

 そんな中でたまたま日程と場所が自分自身に都合の良く、その絵師さんが参加するコミケが到来した。行くしかないと思った。リアイベに慣れてない私の「初コミケ一般参加」という挑戦がその時からスタートした。



 本当に行くのだろうか?と思いながら毎日やることをしつつ準備を進めていた。行き方や持ち物、服装、資金。考えたり買ったり用意したり…どれだけ準備を進めても実感が湧かなかった。初参加というのもあり不安も多く「当日に怖くなって行くのやめたらどうしよう」「当日何かミスしたらどうしよう」など今から考えても仕方のないことを考えていた。それにコミケに憧れが強く「あのコミケに私が行けるのか?」という概念的な疑問がずっと存在していた。

 実感ができたのは当日の月に入ってからであり、さらにその週には迫ってくるのをやっと感じた。

前日には「ついに明日か」と「本当に明日か?」が脳内に居座った。早く寝れるかという現実的な心配、日程合ってる?本当に明日?という楽しみすぎてよく分からない不安があった。結局予定よりあまり早く寝れず起きる時はほぼ気合いで起きた。


 予定よりあまり早く寝れず気合いで起きた私はバナナを一本と食パン一枚を食べ水一杯を飲み、また気合いで身支度をし持ち物を背負い外へ出た。

本当は始発組に混ざりたかったが睡眠をそこまで削るのは不可能なため諦めた。色々な不安を脳内で巡らせつつ歩き続けてなんとか会場の入り口周辺に着いた。ちょうど一般参加のチケットが発売開始したばかりだった。


 チケット購入列に並ぶ。不安すぎてスタッフさんに一応確認した。それでも合ってるか不安で呆然と立つ。人混みと不安で頭がぼっとする。「これはまずい」と思った。おにぎりを食べた。空は良い色をしていた。これは私の青春の一つに加わるのだろうとおにぎりを食べながら思った。コンビニのおにぎりはいつ食べても美味しいが今日は特別に美味しい。

 食べ終わってぼっとしていると列が動いた。それにとぼとぼとついて行く。初めて入る施設の中身。「中身こんな感じなんだ」と校外学習に来た気分で歩きながら見渡す。もうこの時点で気分は最高であった。

 チケット購入はまあまあ緊張した。両替しまくった小銭を何枚か手に持って順番を待った。チケットを貰った時「これがチケットかぁ」としみじみした。そしてとりあえずパンフレットも買った。

そのあとの道も長かった。「これコミケの列だよな?」と何回も不安になった。テーマパークの列な気がしてきた。そして道の途中で海と対面する。それであることを理解した。「だからコミケは暑いんだ」と。日本には四季があるため温度も変わりゆくがこの海の近さが厚さの原因でもあるのだと。人混みと夏なら夏の暑さ…くらいにしか考えていなかったため我ながら気づくのが遅いなと呆れた。


 会場内に着いた。なんかでかい倉庫みたいだなと思った。この時の私は開場待ちの長さを知らなかった。そもそも『開場待ち』というもの自体を知らず、その存在に気づき始めたのは30分後ぐらいだ。

そこから「もしかしてこれまあまあ長い?」となり調べはじめた。そして「まじか」となった。2時間くらいは待つらしい。幸い、どこかの情報で「座れる椅子やシートは必須」と見たので百均で買ったシートは持ってきていたので床を気にせず座れるのは良かった。しかし暇つぶし対策は微妙だ。あるのはメモ帳とペン、携帯ゲーム機だけである。携帯ゲーム機はもちろん楽しいが予備充電を使いたくないため、本体の充電がある限りしか使えない。結局スマホいじりとメモ帳での軽めの落書き…そしてそれらが飽きたため携帯ゲームをした。テキトーな暇つぶし中、なんとか開場時間となった。


 開場のアナウンスはすごく愉快だった。テーマパークに来た気分がまたやって来た。そして列が動く。最初は止まり気味であり「あれ?まだ待つの長いかなこれ」と少し恐怖と焦りを感じていたが思ったよりは止まり気味は早めに解消した。

でかい倉庫だと思っていた会場内の新たな景色にビビった。待っていたところから出た先にはショッピングモールのような一面真っ白でエスカレーターや壁にマップが張り付いていた。少し上を見るとご飯屋を見つけた。

 周りを見渡し続けるわけにもいかないので人の少ないところに移動。スマホでマップを見つつ、紙にメモをしたお目当ての絵師さんの位置の番号を照らし合わせた。そして場所を目で確認しスマホを軽く握りしめながら目当ての位置に向かった。

歩きには自身があったがそれでも会場の広さを感じた。合っているか不安だったが近くなるにつれ確信を持てた。お目当ての絵師さんがいるサークルの圧巻の景色を目で捉えたからだ。

 本人との対面は緊張でしかないためとりあえず、その本人のいる場所の道を歩き本人をチラ見した。多分合っている。一旦人が少なめの場所に移動し小銭の入った袋と差し入れ取りやすいところに準備し少し息を呑んだ。そしてまた歩いた。


 「あの…」と声をかけて売っている全部の作品を2個づつ購入した。ここまで小銭を出してて緊張と喜びを感じることはないだろう。

作品を受け取ってしまった後に「好きです。会えて嬉しいです」と差し入れを渡した。そして去った。文ならいくらでも書けるのになぜ対面での会話はここまで話せないのだろうか。いや、話せないからこそ文で補っているのかもしれない。ひとまず好きな絵師さんに会えたこと、売っていた作品を全て2個づつ買えたこと。それに安堵した。


 そこからはその絵師さんの所属するサークルやそのサークルと同じ原作の方々の作品を見て回った。その原作のコスプレの方が何人か歩いておりとても幸せを感じた。

 流石に昼ごはんは食べないとまずいとなりどうしようか歩きながら考えた。そう何も対策してないのである。一応まだおにぎりのあまりはあるが「海苔こぼしそうだしなぁ」と食べる気になれなかった。ひとまずご飯屋に行くことにした。

 思ったより腹が減ってないのでオレンジジュースを飲むことにした。今思えば値段に慄いて腹は減ってないと無理矢理思い込んだのかもしれない。オレンジジュースは美味しかった。


 昼休暇の前にまあまあ買ったためこの時点で資金はだいぶ無かった。しかしこれで帰るのもつまらないため他のジャンルや個人作家さんのも見に行くことにした。

 たまたま好きなキャラのシールが売っていたため購入。個人作家さんのはポストカード、小動物の小さい置物の2点を買った。そうしてブラブラしてるうちに閉場時間が迫った。


 名残惜しいがもう閉まるため出ることにした。いまだに実感が湧かない。それだけ楽しかった。


 このまま帰るのもなーと思い近くで空いてるカフェを見つけ寄った。期間限定の飲み物を飲んだ。美味しかった。

会場を出ると空がまだ明るくて、入場と同じ良い色をしていた。良い天気なって良かったとしみじみした。


 帰宅中は放心状態であった。テーマパークからの帰りを思い出す。やはりコミケはテーマパークなのでは?と今は思うが帰宅中の私は「コミケから帰ってる…帰ってる…」とよく分からない脳内をしていた。

 私は疲れていてもすぐに寝れないため帰ってからも、すぐに寝ず買った作品を見たりぼっとしたりしていた。特に好きな絵師さんの作品は最高だった。読んだあとはテンションが爆上げであった。そして夜ご飯を食べる前に力尽き起きたら夜中であった。寝ぼけながら「あぁ、睡眠サイクルがまた乱れれな」と察した。でも「コミケ楽しかったからいいか」とコミケでの一日を思い出し久しぶりに病まない夜中を過ごした。



 歩きには自信があると言いつつ、あれだけ歩き続け飯も大して食べず水分はきちんと取れたくらいだったためもちろん疲れた。

ただ会場内を歩くとだけであそこまで楽しくて幸せで、購入するときは思った以上に緊張と喜びがあって。あそこまで情緒が忙しくなるとは思っておらず当日を過ぎたあともあの感覚が忘れらない。絶対的な「次」への希望がある。どこかしらテーマパークのような感覚はあるが全部そうではない。絶対コミケにしかない何かがある。その何かに私はきっとハマってしまった。

また一般参加したいのはもちろん、いつか…いつかサークル参加もしてみたい気持ちもある。いつになるかは分からないが…

この実録を読んで少しでも面白く感じたり何か参考になればありがたい。

憧れのコミケに参加し、ここで記録に残せて私は満足である。ただまだ参加したい。あれだけの満足感と疲れを感じても「次」が待ち遠しい。コミケにはきっと魔法があるんだと思う。

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