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第8話

とうとう家の中に入ってしまった。


 どうするどうするどうするどうするどうするどうするどうするどうするどうするどうするどうする


 敵の家に入ってしまったぞ。


 いや、家なんて生ぬるいものではない、敵のアジト、敵の本部なのかもしれない。


 だが、それにしてはあまりにも普通の家過ぎる気がする。


 もしかしてここの地下に研究室が設備されていてそこに今から連れて行かれるのか?


 だとしたら不味い。


 地下の研究室に連れて行かれる前になんとかしなくては。


「トイレ借りていいか?」


 一旦作戦を練ることにしよう。


 トイレでお腹を痛めているふりをして時間を稼いで作戦を練ることにしよう。


「いいよ。あそこだよ」


 桜井莉緒はトイレであろう部屋を指差してくれている。


 余は指差している部屋に入っていった。


 とりあえずトイレの蓋を開けずに座りこの今の状況を打破する方法を探す。


 多分だけどもう詰んでいるのかもしれない。


 この家に入ってしまった瞬間からもう余は終わっていたかもしれない。


 この家がアジトにつながっているのだとしたらもう余は閉じ込められているに違いない。


 ああ、なんで罠と分かっていて入ってきてしまったんだ、余はバカなのか?


 だが、この余がタダで捕まるわけにはいかない。


 絶対にどこかに逃げ道があるはずだ。


 考えろ。


「大丈夫?」


 逃げ道を考えていたら桜井莉緒がトイレの外から余に声をかけてきた。


「ああ」


「宇野くんもしかして女の子の家に入って緊張してるんでしょ?」


 は?余が緊張?

 

 誰が誰に対して緊張してるって?


 この余が?桜井莉緒に対して?


 いずれかはこの地球の王になる存在がこんな小娘に緊張?ふざけるな。


 緊張するわけがないだろ、こいつは余を煽っているのか?


 こんな怒りが込み上げてくるのは久しぶりだ。


 

 

 ガチャ



「あれ?大丈夫なの?」


「当たり前だ。そもそも緊張なんかしていないし、トイレの風水が気になってただけだ」


 ここは適当に嘘をつくことにしておこう。


「え?風水?」


「そうだ風水だ」


「なんで風水?」


「トイレの風水は金運、健康運にすごく影響が出てくる場所だからな」


「へ〜そうなんだぁ。で?どうだった?」


「何がだ?」


「うちのトイレの風水」


 最悪だ。


 嘘なのにこいつ興味持ちやがった。


 どうやって乗り切ればいいんだ。


「あーなんとも言えないかんじだな」


「と言いますと?」


「あまり良くない感じだ」


「どういう風に?」


 めんどくさい。


「あーはい。明日死にます」


「え?え?え?どういうこと?私明日死ぬの?」


「そうだな、風水が出てるからな」


「どうすれば良いの?」


 何?こいつ本当に信じているのか?


「あーはい。今日はお風呂に入れ。以上」


 適当に絶対やることを伝えておく。


「え、今日銭湯に行く予定だったのに」


 なんてタイミングが悪い。


「じゃあ、今日は寝ろ。以上」


 流石にこれはいけるだろ。


「え、明日の小テストのために徹夜する予定だったのに」


 小テストで徹夜するな。


 ていうか、明日小テストあるのかよ。


「じゃあ、夜ご飯をしっかり食べろ。以上」


「え、私ダイエット中だから夜ご飯食べない予定だったのに」


 ダイエットだからってご飯を抜くのは違うぞ。


 ここまでくると本当に死ぬんじゃないか?


「じゃあ、ヨガしながら書道をしろ。以上」


 もういいわ、奇跡的に明日生きてましたっていうサプライズにしとくか。


 というか、余の風水を信じすぎてないか?


「よかったぁ、いつもやってるからそんなんだったら余裕でできるよ」

 

 お、今度こそはできるみたいだな。







 




 





 え?ヨガしながら書道をいつもやってるのか?








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