第84話
あいつっていつになったら会うことが出来るのだ?
そもそもあいつがいなかったら説得も出来ないではないか。
あいつって学校に来ているのか?流石に来てはいるか。
同じクラスメイトのはずなのに余は何も知らないな。
まぁ来るのを待つだけだ。
キーンコーンカーンコーン
は?
放課後になったのだが?
あいつって学校に来ないのか?
そんなにも不良なのか?
もう時間も無いと言うのに、余にはまだ二人三脚の練習も残っているのだ。
もう余には余裕が残っていないのだ。
だから、今から全力で佐々木を探しに行く。
待っておけよ佐々木の野郎。
じゃあ手始めに北の方から責めて行くか。
***
やっと見つけた。
もう100kmは走ったぞ、本当に手こずらせやがって。
「おい」
「え、え?誰?」
「余だ」
「げ、宇野じゃねぇか」
げ、ってひどい奴だな。
「体育祭に出る気になったか?」
「宇野には悪いが俺は出ない」
「出ないではない、出ろ」
「なんなんだよお前、俺はもう走れないんだよ。もうほっとけよ」
佐々木が声を荒げてくる。
走れない?前は走らないだったのに?ただの言い間違いか?
「別にお前の事情など余は知らない。お前はただリレーで走れば良いのだ」
「だから俺はもう走れないんだ」
今はっきりと走れないって言ったな。
「走れないって、お前は怪我でもしているのか?」
「怪我はしてない」
「じゃあなぜ走れないのだ」
「それは……」
佐々木は何かを言いかけて途中で言葉を濁した。
「お前は何を怖がっているのだ、走りたいなら走れよ」
「お前には関係ねぇんだよ、もう俺に関わるな」
「おい、待て」
佐々木は余の言葉を無視して帰って行った。
ああもう、余には時間が無いのだ、なぜこんなにもしつこいのだ。
勘弁してくれよ…
やめだ、最初は話し合いでなんとかしてやろうと思ったが、もう無理だ。
いつまでも余が優しくいくと思うなよ。




