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第82話

「おい、佐々木のことで何か知っていることはあるか?」


「佐々木は中学の頃陸上で結構有名だったらしいよ」


「そうなのか」


 へ〜、あいつあの感じで陸上で有名だったのか。


 なのにあいつはなぜ不良と連んでいるのだ?


「ん〜、私は中学別だったからあまり詳しく分からないかな」


「そうか」

 

 中学が別だったらそれぐらいか。


 佐々木のことは一旦置いておくか、今はデートだからな。


「他に行きたいところとかあるか?」


「宇野はないの?」


「余は正直帰りたい」


「あー、最低の答え」


 仕方ないだろ、そこまで時間も経っていないのに色んなことが起こって疲れたのだ。


「どこでも良いじゃなくて帰りたいは一番言ったらダメだからね」


「だったらどこでも良い」


「そういうこと言ってないから」


 だったら何が良かったのだ。


「も〜、じゃあ近くの水族館あるから行こ?」


「そうだな、行くか」


 水族館か、意外と行ったことがないから楽しめそうだな。


 魚が泳いでいるところを観るだけかもしれないが、魚が泳いでいるところを真剣に観たことないから初めての体験だ。


「歩いて何分くらいなのだ?」


「ん〜?10分くらいかな?」


 高宮千沙が携帯で調べる。


「遠いな」


「車より速いのに何言っての?」


 ***


 いやー、水族館に初めて来たのだがすごいな。


 ちょっと余は疑っていたのだ、魚が本当に泳いでいるのか。


 だって余は観たことはなかったからな、泳いでいるってことを聞かされていただけだからな。


「おい、あっちでクラゲが観れるらしいぞ」


 クラゲが観れることが出来るのかここは、素晴らしいな。


「おいおい、マジか、あっちでエイ触れるらしいぞ」


 観ることだけじゃなくて触れることが出来るのか、感動してしまうな。


 エイって毒針を持ってると聞くが流石に取ってあるか。


 まぁ余は毒は効かないがな。


「あっちはちっちゃいサメ触れるぞ」


 本当か?小さいとは言えサメだぞ、それを触れることが出来るのか。


「おい、あっちはでっかいサメいるぞ」


 次は触れることは出来ないが、でっかいサメを観ることが出来る。


 あ、ハンマーヘッドもいる。


「写真撮ってあげようか?」


「え?」


 高宮千沙が写真を撮ることを提案してくる。


 正直なことを言うと撮ってほしいが、撮ってほしいと思っていることが恥ずかしい。

 

 もっと正直なことを言うとクラゲのところで撮っては欲しかった。


 どうする、どうする、恥もプライドも捨ててしまうのか?


「ちゃんとタイミング良く撮れよ」


 意外と恥もプライドも軽く捨てれたな。


 ***


 なんかこの水族館は観覧車が付いているらしく、乗ることにした。


「なぁ今日は楽しかったか?」


「なに、どうしたの?」


「今日は楽しかったのかと聞いているのだ」


「別に普通くらいかな」


「そっか、余はなんだかんだ楽しかったがな」


「ごめん。私も楽しかった」


「なんだそれ」


 今日の出来事で二人三脚に良い方向に向かっていければ良いな。





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