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第7話

 なんでここにいるんだよ。


「どうしたの?その怪我」


 その怪我を負わせたのはお前らだけどな。


 そんなことよりなんでこのタイミングで桜井莉緒と偶然出くわすんだよ。


 最低最悪のタイミングだ。


「怪我なんかしていない」


 血はそんなには出てはいないものの傷など明らかにボロボロにはなっている。


「いや、それは無理があるよ。結構ボロボロだよ」


 なんで敵であるお前に心配されなくてはならないんだ。


「こんなもの怪我のうちにも入らん」


「本当に?今にも倒れそうだよ」


「余はただステップを踏んで歩いているだけだ」


「何?ステップって、ただ脚を引きずってるだけだよね?」

 

「お前には分らないだろうがこれが余の先祖から受け継いできた伝統ある踊りなんだぞ」


「どこ出身なの?」


 ここでお前と呑気に話している暇はない、さっさと話を切り上げてこの場から去ろう。


「じゃあ、もう余は元気だから」


 そう言い余は踵を返して桜井莉緒に背を向ける。


 あ〜そうなると家と逆方向になってしまうからかなりの遠回りになってしまう。


 まぁ痛みには耐えられるからなんとか家には帰れると思う。


「ちょっと待って」


 桜井莉緒は余の肩をガシッと掴んできた。


 おい、帰る邪魔をするな、お前が掴んでいる肩も痛いんだからな。


「私の家近いから私の家で手当てしよ」


 は?


 お前らの攻撃でこんな怪我を負ったんだぞ。


 それをなんで敵であるお前に手当てをされなくてはならないんだ。


 怪我を負わせて怪我の手当てをしようとしているんだぞ。


 誰がお前なんかの手当てなんか受けるか。


「いや、別にいい」


「ダメ!すぐ近くだから」


「いや、本当にいいから」


「いや、私の家もう見えてるから」


「余は大丈夫だから」


「こっちも大丈夫だから、じゃあ私の家行こっか」


 押すな、押すな。


 桜井莉緒は余の肩を押し、夜中の道路を一緒に歩き始めた。


 はぁ〜強制かよ。



 * * * *



「はい、着いた。ここが私の家だよ」


 くそ、結局桜井莉緒の家に来てしまった。


 普通の一軒家だ。


 何をやっているのだ余は、敵の家に来てどうする、敵の本部と言っても過言ではない。


 そうか、これは罠か。


 余をここに誘き寄せて、弱っているところを徹底的にボコボコにするのかもしれない。


 いや、桜井莉緒の一人だったら余一人で勝てる。


 いや、もしかしたらここが桜井莉緒の家というのが嘘なのかもしれない、余がさっき言っていた敵の本部なのかもしれない、それであとの二人が待ち構えているのかもしれない、だが、さっき戦いで分かったが今日の桜井莉緒は魔法を使うことはできないし、だから、合体技を撃つことはない、が、もしかしたらさっきみたいに妖精に魔法を渡してもらうのかもしれない、さっきピンクの魔法少女に渡した妖精ではなくて違う妖精がもっと他にもいるのかもしれない、他にも


「何してるの?早く入って」


 くっ、考えがまとまらない、ここは無理矢理にでも引くしかない。


「やっぱり家に帰る」


 危なかった、あともう少しで敵の罠に引っかかるところだった。


「はいはい、分かったから早く入るよ」


 帰ろうとした余の手を取り無理矢理家の中に入れようとする。


「待て、余は」


「もう無理矢理連れて行くから」


 手から首根っこに変え、余を引きずりながら強制的に家の中に連れて行く。


 余は一体どうなってしまうのだ。





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