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第67話

 本当に九重菫には手が焼けた。


 あれからも九重菫がわがまま言っていたからめちゃくちゃ大変だった。


 あの時はあいつは調子に乗って色々余に言っていたが、余があいつのわがままを聞くのは夏休みの間だけだ。


 次に会った時は何でも言うことを聞いていた余はもういない。


 次会った時にはもう弱点がなくなっている余に生まれ変わっているからな。


 そうやって余裕でいられるのも今の内だぞ。


 まぁもう九重菫のことはどうでも良い、今回は桜井莉緒のところへ来ている。


 桜井莉緒のボランティアは桜井莉緒の家で留守番らしい。


 は?とは思いつつもこんな簡単なことで良いのなら喜んで引き受けよう。


 ということで今は桜井莉緒の家にいる。


 家の中にはなぜか余一人しかいない。


 いや、やばいだろ。


 余と桜井莉緒の関係はクラスメイトってだけだぞ、なのに無防備すぎないか?


 あいつは知らないが余は敵だからな、敵に油断し過ぎだろ。


 敵とか関係なしに普通にクラスメイトに留守番を任せるなよ。


 あいつ結構おかしなところあるしな、三人の中では一番変人なのかもしれないな。


 そういう訳があって桜井莉緒の家にいるのだが、とりあえず暇だ。


 家の中にいるだけでやることがないから暇で暇で仕方ない。


 自分の家ではないからくつろぐことも出来ないからただただ時間を過ぎるのを待つしかない。


 にしても懐かしいな。


 いつぶりだろうか、あの時は中々この家から出られなくて困ったなぁ。


 結構この出来事があったからこいつらと関わってしまう原因になってしまったのだ。


 これで桜井莉緒に関わってしまって、桜井莉緒が余に高宮千沙のストーカーの護衛を任せたせいで高宮千沙にも関わることになってしまったのだ。


 だからあまりこの家には良い印象はない。


 だからと言って頼まれたことは果たさないわけにはいかない。


 まぁテレビでも観て適当に時間を潰すとするかな。


 ***


 ガチャ


 お、やっと帰ってきたか。


 ずっとテレビを観ていたら時間はあっという間に過ぎていた。

 

 あんまり家族以外の奴に留守番をさせるなとあいつに説教してやらんといけないな。


「ただいま。っと、そうだ今日は宇野くんがいるんだった」


 先に帰ってきたのは桜井莉緒の父親の方だった。


「ごめんね、留守番してもらって」


「お前も止めろよ、余が留守番をすることを」


「どうして?」


 どうしてって、こいつ。


「他人を留守番させるな、余が悪さするかもとかは思わなかったのか?」


「君はそんなことしないでしょ?」


 は?


「なぜそう思う?余は自分で言うのもなんだが確実に良い人間ではない、どちらかと言えば悪い人間だ」


 まぁ余は人間ではないがな。


「いや、他人のために頑張れる君は良い人に決まっている。僕、見る目には自信があるんだ」


 その目は腐っているのか?


 余が良い奴なはずがないだろう、余は地球を征服しようとしているのだぞ。


「君はもう一度自己評価を改めるべきだよ」


 余の評価?


 天才で、才能の塊で、センスの鬼で、カリスマが溢れ出していて、クラスの王で、いずれは地球の王になる完璧超人のところの何を改める必要がある。


 自分で言っておいてこんなどれにも優れた奴がいるのだな。


 余はやはり最も完璧に近い存在なのだ。


「とりあえず他人に家を任せるな」


「そうですね」


 全く、本当に分かっているのだろうか。


 ガチャ


 またドアが開く音がした。


「宇野くーーーん」


 勢いよく余らがいる部屋へと入ってきた。


「大丈夫だった?ちゃんとお留守番出来た?一人で怖くなかった?」


 騒がしい奴だなぁ。


「うるさい。ちゃんと言われた通り留守番しておいたぞ」


「さすが宇野くん。出来る子」


 あまり嬉しくない褒められ方だな。


「よしよし、してあげる」


「いらん」


「じゃあぎゅーしてあげる」


「いらん」


「そんな、私の子が反抗期だ」


「余はお前の息子じゃない」



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